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見越
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みこし
ふりがな文庫
“
見越
(
みこし
)” の例文
樽を
張子
(
はりこ
)
で、鼠色の大入道、金銀張分けの大の
眼
(
まなこ
)
を、行燈
見越
(
みこし
)
に
立
(
たち
)
はだかる、と縄からげの貧乏
徳利
(
どっくり
)
をぬいと突出す。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「もとは
柳橋
(
やなぎばし
)
にいた奴だよ、今は、
駒形堂
(
こまがたどう
)
の傍に、
船板塀
(
ふないたべい
)
に
見越
(
みこし
)
の
松
(
まつ
)
と云う寸法だ、しかも、それが
頗
(
すこぶ
)
るの美と来てるからね」と小声で云って
笑顔
(
わらいがお
)
をした。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
折からあたりもたそがれてきたし、人の見る眼もない様子なので、彼は門前の捨て石を足がかりとし、塀の
見越
(
みこし
)
へ片手をかけて、ヒラリと上へ
攀
(
よ
)
じ登った。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或日商人某が柳原の通をゆくと一人の
乞丐
(
こじき
)
が
薦
(
こも
)
の中に隠れて煙草を喫んでいるのを
瞥見
(
べっけん
)
して、この禁煙令はいまに破れると
見越
(
みこし
)
をつけて煙管を買占めたという実話がある。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
四方板塀で圍まれ隅に用水桶が置いてある、板塀の一方は
見越
(
みこし
)
に夏蜜柑の木らしく暗く繁つたのが其
頂
(
いたゞき
)
を出して居る、月の光はくつきりと地に印して
寂
(
せき
)
とし人の
氣勢
(
けはひ
)
もない。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
し
其麽
(
そんな
)
噺
(
はなし
)
をして
聞
(
き
)
かせる
人々
(
ひと/″\
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
酷
(
ひど
)
い
貧乏
(
びんばふ
)
なのと、
二人
(
ふたり
)
の
子
(
こ
)
が
有
(
あ
)
るのとで
到底
(
たうてい
)
後妻
(
ごさい
)
は
居
(
ゐ
)
つかれないといふ
見越
(
みこし
)
が
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
心底
(
しんそこ
)
から
周旋
(
しうせん
)
を
仕
(
し
)
ようといふのではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
塀の中には
見越
(
みこし
)
の松から二階の手すりなども見えて、気取った作りの家の前まで来ると女が先に格子をあけて案内した時、表にかけた松月堂古流
云々
(
うんぬん
)
の看板で、この女がべつだん
凄
(
すご
)
いものではなく
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ほこりを黄色に、ばっと立てて、擦寄って、
附着
(
くッつ
)
いたが、女房のその
洋傘
(
こうもり
)
から
伸
(
のし
)
かかって
見越
(
みこし
)
入道。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、彼は、ぽんと、塀の
見越
(
みこし
)
へ跳び乗った。——後は、音もしない。
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
可恐
(
おそろし
)
いものを取入れて、
威
(
おど
)
すものには威され、祟るものには祟られ、怨むものには怨まれるほどの覚悟で、……あるべき事ではないのですが、ろくろ首でも、
見越
(
みこし
)
入道でも、海坊主でも。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
所詮
(
しょせん
)
、混雑はまぬかれまいとの
見越
(
みこし
)
から、いっそ海上がよかろう、島がよいとなって、赤間ヶ関と門司ヶ関との間の小島——
穴門
(
あなと
)
ヶ
島
(
しま
)
とも、またの名を船島ともいう所ですることと決定いたした
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見越
(
みこし
)
、河太郎、
獺
(
かわうそ
)
に、海坊主、天守におさかべ、化猫は
赤手拭
(
あかてぬぐい
)
、
篠田
(
しのだ
)
に
葛
(
くず
)
の葉、
野干平
(
やかんべい
)
、古狸の
腹鼓
(
はらつづみ
)
、ポコポン、ポコポン、コリャ、ポンポコポン、笛に雨を呼び、酒買小僧、
鉄漿着女
(
かねつけおんな
)
の
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
越
常用漢字
中学
部首:⾛
12画
“見越”で始まる語句
見越入道