袖褄そでつま)” の例文
で、親族しんぞくをとこどもが、いどむ、なぶる、威丈高ゐたけだかつて袖褄そでつまく、遣瀬やるせなさに、くよ/\浮世うきよ柳隱やなぎがくれに、みづながれをるのだ、とふ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
えたれども折々は夜鷹よたかなどを買ひ行て家を明る事もあり又は下女共にはやさしき事を言かけはぢをかく事も度々たび/\なれども其をはぢとも思はず近頃は彼お兼に思ひを掛け時々とき/″\袖褄そでつま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
袖褄そでつま引合ひてののしり合へるぞ笑止せうしなる。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
笠に打着うちきて庄兵衞に無理むりを言うこと度々なれど庄兵衞意に心能らず思うて言葉ことばあらそひせし後は久しく往通ゆきかよひもなさで居しが庄兵衞はとうより大藤の女兒むすめお光に戀慕れんぼなしつゝ忍び/\袖褄そでつま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小さな紅茸べにたけを、私が見つけて、それさえ嬉しくって取ろうとするのを、遮って留めながら、浪路が松の根に気もえた、袖褄そでつまをついて坐った時、あせった頬は汗ばんで、その頸脚えりあしのみ
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もつとそれまでにも、小當こあたりにあたることは、板屋いたやはし團栗どんぐりことならずで、蜘蛛くもごと袖褄そでつまいてたのを、やなぎかぜけつながしつ、擦拔すりぬけるせてところ義理ぎりあるおとうと内氣うちきをんな
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)