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よしきり
ふりがな文庫
“
行々子
(
よしきり
)” の例文
鰹
(
かつを
)
も裏長屋まで行渡つて、
時鳥
(
ほとゝぎす
)
も珍らしくはなく、兩國橋を渡つて、大川の上手へ出ると、
閑古鳥
(
かんこどり
)
も
行々子
(
よしきり
)
も鳴いてゐた時代です。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その中からけたたましく
行々子
(
よしきり
)
の聲が騷ぎ立てる。何ものかの警告を與へるやうに、今まで默つてゐたものが不意に目を醒ましたやうに。
霧の旅
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
三人は、
喧
(
やかま
)
しく
行々子
(
よしきり
)
の鳴いている
蘆間
(
あしま
)
をくぐって、砂洲に出た。そして、しばらく蜆を拾ったり、穴を掘ったりして遊んだ。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
行々子
(
よしきり
)
に似た啼声で、それより遥に寂びのある山の鳥の声である。一里ほど登ったところで、私は路を右にとった。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
「
行々子
(
よしきり
)
土用
(
どよう
)
へ
入
(
へ
)
えつた
見
(
み
)
てえに、ぴつたりしつちやつたな」と
呶鳴
(
どな
)
つたものがあつた。
漸
(
やうや
)
く
靜
(
しづ
)
まつた
群集
(
ぐんしふ
)
は
少時
(
しばし
)
どよめいた。
然
(
しか
)
し
直
(
すぐ
)
に
復
(
ま
)
た
靜
(
しづ
)
まつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
津の宮の鳥居の下から、舟をやとうた田山白雲は、鯉のあらい、白魚の酢味噌を前に並べて、
行々子
(
よしきり
)
の騒ぐのを聞き流し、水郷の中に独酌を試みている。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
行々子
(
よしきり
)
の啼き声がハタとやんだのをみると、その前方には高麗川のわかれが、道を
遮
(
さえぎ
)
っていたのだろう。弓の
弦音
(
つるおと
)
だけがビンビンと澄んだ大気に鳴り出していた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行々子
(
よしきり
)
は最初から、人の来ぬような不毛の地に拠って、孤立の平和を保とうとする様子が見える。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夏の白雲がわく時、葦の間の
行々子
(
よしきり
)
が鳴く時わたしの故郷の父の墓を思ふ。母の墓を懐ふ。
八月の星座
(新字旧仮名)
/
吉田絃二郎
(著)
夕暮、眠い
靄
(
もや
)
がその上をこめると、沼地で、シュワア、シュワア、シュワア、シュワア、馬の毛の弓で胡弓をこするような、小動物の合奏が起った。ツチョツチョツ、チュル……
行々子
(
よしきり
)
が
囀
(
さえず
)
る。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
するうちに湧きたつやうな
行々子
(
よしきり
)
の囀りと共に白々夜があけた。
老苦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
行々子
(
よしきり
)
が遠くで、近くで、
交
(
かた
)
み代りに鳴いている。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
行々子
(
よしきり
)
ア騒ぐ
おさんだいしよさま
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
葦
(
よし
)
に
行々子
(
よしきり
)
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
行々子
(
よしきり
)
が高く啼いていた。権十の大漁着を借りて磋磯之介は、
苫
(
とま
)
の蔭に丸ッこくうずくまっていた。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明日漕ぐと樂しみて見る沼の面の闇のふかみに
行々子
(
よしきり
)
の啼く
樹木とその葉:08 若葉の頃と旅
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
どこか、東の山の
端
(
は
)
は、はや明けかけているのだろう。川ノ辻あたりの水面だけが、ぽかっと白い。
行々子
(
よしきり
)
のヒナやら
雲雀
(
ひばり
)
やら、ほの暗い芦のうちでは、もうチチチチが聞かれ出す……
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
(
ひ
)
とすじの流れは川の姿をなして、
淀川
(
よどがわ
)
に
注
(
そそ
)
ぎこんでいるが、附近は
葭
(
よし
)
や
蘆
(
あし
)
におおわれた一帯の沼地である。そして常ならば
行々子
(
よしきり
)
の声が
喧
(
やか
)
ましく聞えるのだが、きょうは一鳥の声すらない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
難波
(
なにわ
)
の葭に、
行々子
(
よしきり
)
の
音
(
ね
)
が高い。花はちり、行く春の
巷
(
ちまた
)
に、
埃
(
ほこ
)
りが舞って、長い長い甲冑の武者や馬の出陣列に、花つむじが幾つもの小さいつむじを捲き、それが自然の
餞別
(
はなむけ
)
のように見えた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
将門は、
芦間
(
あしま
)
の岩に腰を下ろした。さすがに、豊田の
館
(
たち
)
から、馳せ通し、また、歩きとおしたので、少し疲れたものとみえる。
渺茫
(
びょうぼう
)
たる
大江
(
たいこう
)
の水を前に、しばし、
行々子
(
よしきり
)
の啼く音につつまれていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
々
3画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“行々”で始まる語句
行々