“よしきり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
行々子52.6%
葭切13.2%
剖葦10.5%
葦切7.9%
剖蘆2.6%
葦剖2.6%
葦雀2.6%
葭剖2.6%
葭原雀2.6%
行行子2.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三人は、やかましく行々子よしきりの鳴いている蘆間あしまをくぐって、砂洲に出た。そして、しばらく蜆を拾ったり、穴を掘ったりして遊んだ。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
彼はその晩徹宵蚊帳の外で、蚊遣を焚ながら読みたくもない本を読んでゐた。するうちに湧きたつやうな行々子よしきりの囀りと共に白々夜があけた。
老苦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
津の宮の鳥居の下から、舟をやとうた田山白雲は、鯉のあらい、白魚の酢味噌を前に並べて、行々子よしきりの騒ぐのを聞き流し、水郷の中に独酌を試みている。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
城沼、多々良沼など、館林地方の平野の水には、蘆萩ろてきの間に葭切よしきりが鳴いて初夏の釣遊が忘れられぬ。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
田圃の小川では、葭切よしきりが口やかましく終日しゅうじつさわいで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一日、とうとう堪忍袋の緒をきらしたE師は、彼女をらっして竜泉寺あたりの風雅な宿屋へと出かけた(ああ、その頃の台東区竜泉寺には、いまだ美しい蓮田があり、葭切よしきりが鳴き、アベックに好適な水郷だった!)。
艶色落語講談鑑賞 (新字新仮名) / 正岡容(著)
成願寺の森の中の蘆荻ろてきはもう人の肩を没するほどに高くなって、剖葦よしきりが時を得顔えがおにかしましく鳴く。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
裏見寒話うらみかんわ』を見ると、古くは甲州にも剖葦よしきりをカラシという方言があった。
この筵は何の筵かわからぬが、上に「草の戸」とあるから、不断敷いている筵ではあるまいかと思う。バタバタ筵を叩く音がする、行々子ぎょうぎょうし即ち剖葦よしきりが啼く。これも音と音との取合せである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
さて別封(小説「葦切よしきり」)は佐瀬と申す男の書いたもので、当人はこれをどこかへ載せたいと申しますから『ホトトギス』はどうだろうと思い御紹介致します。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
それが月を越え蘆のたけが伸びて、葉ずれの音がさらさらさらさらとするようになると、あたかもその音を威圧するかのごとき調子で、巣を持つ限りの葦切よしきりがかわるがわる鳴き立てるのである。
明治廿五年ごろには山川の鋭い水の為めにその葦原が侵蝕しんしよくされて、もとの面影がなくなつてゐたのであらうが、それでもその片隅の方には高い葦が未だに繁つてゐて、そこに葦切よしきりがかしましくいてゐるこゑが今僕の心によみがへつて来ることも出来た。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
油のやうな大河の流れに六月の碧空が映る時、燕は軽やかな翅を羽叩いていのちの凱歌かちうたをたゝへてゐる。蘆の間の剖蘆よしきりも、草原の牝牛もいのちの信愛に輝けるいたいけな眼を瞬いてゐる。
沈黙の扉 (新字旧仮名) / 吉田絃二郎(著)
葦剖よしきりう懸けたつぺな」
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
葦雀よしきりが鳴きます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
棹かすむるは葭剖よしきり
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
岸から船を離して艪を漕いで中洲の蘆間に入ったのを、誰も見ている者は無かったが、喫驚びっくりしたのは葭原雀よしきりで、パッタリ、鳴く音を留めて了った。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
その鳴く声を聞くと我国の行行子よしきりである。