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剖葦
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よしきり
ふりがな文庫
“
剖葦
(
よしきり
)” の例文
剖葦
(
よしきり
)
はしきりに鳴いた。
梅雨
(
つゆ
)
の中にも、時々晴れた日があって、あざやかな
碧
(
みどり
)
の空が
鼠
(
ねずみ
)
色の雲のうちから見えることもある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
畑では麦が日に/\照って、
周囲
(
あたり
)
の
黯
(
くら
)
い緑に
競
(
きそ
)
う。
春蝉
(
はるぜみ
)
が
鳴
(
な
)
く。
剖葦
(
よしきり
)
が鳴く。
蛙
(
かわず
)
が鳴く。青い風が吹く。夕方は
月見草
(
つきみそう
)
が庭一ぱいに咲いて
香
(
かお
)
る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
バタバタ筵を叩く音がする、
行々子
(
ぎょうぎょうし
)
即ち
剖葦
(
よしきり
)
が啼く。これも音と音との取合せである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
『
裏見寒話
(
うらみかんわ
)
』を見ると、古くは甲州にも
剖葦
(
よしきり
)
をカラシという方言があった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夕方
真紅
(
まっか
)
な
提灯
(
ちょうちん
)
の様な月が上った。雨になるかと思うたら、水の様な月夜になった。此の頃は
宵毎
(
よいごと
)
に月が好い。夜もすがら蛙が鳴く。
剖葦
(
よしきり
)
が鳴く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
遠くに連つて見えてゐた蘆荻の洲から、
剖葦
(
よしきり
)
の鳴声の断続してきこえて来るのが、さながら他界から微かにきこえて来る音楽か何かのやうに思はれた。
ある日の印旛沼
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
裏の林の中に
葦
(
よし
)
の
生
(
は
)
えた
湿地
(
しっち
)
があって、もと
池
(
いけ
)
であった水の名残りが黒く
錆
(
さ
)
びて光っている。六月の末には、
剖葦
(
よしきり
)
がどこからともなくそこへ来て鳴いた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
成願寺の森の中の
蘆荻
(
ろてき
)
はもう人の肩を没するほどに高くなって、
剖葦
(
よしきり
)
が時を
得顔
(
えがお
)
にかしましく鳴く。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
剖
常用漢字
中学
部首:⼑
10画
葦
漢検準1級
部首:⾋
13画
“剖”で始まる語句
剖
剖析
剖検
剖之
剖判
剖柝
剖疑
剖蘆