葦切よしきり)” の例文
さて別封(小説「葦切よしきり」)は佐瀬と申す男の書いたもので、当人はこれをどこかへ載せたいと申しますから『ホトトギス』はどうだろうと思い御紹介致します。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そこに葦切よしきりがかしましくいてゐるこゑが今僕の心によみがへつて来ることも出来た。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
松並木のかなたに、ところどころ暗くあしのむらがったところが見えるのは沼地か湿地で、ときどき葦切よしきりが飛び立ったり隠れたりしている。川獺かわうそいたちんでいるのもそのあたりである。
お繁 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それが月を越え蘆のたけが伸びて、葉ずれの音がさらさらさらさらとするようになると、あたかもその音を威圧するかのごとき調子で、巣を持つ限りの葦切よしきりがかわるがわる鳴き立てるのである。