葭切よしきり)” の例文
彼女をして竜泉寺あたりの風雅な宿屋へと出かけた(ああ、その頃の台東区竜泉寺には、いまだ美しい蓮田があり、葭切が鳴き、アベックに好適な水郷だった!)
艶色落語講談鑑賞 (新字新仮名) / 正岡容(著)
城沼、多々良沼など、館林地方の平野の水には、蘆萩の間に葭切が鳴いて初夏の釣遊が忘れられぬ。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
河畔のの中でしきりに葭切が鳴いている。草原には矮小夾竹桃がただ一輪真赤に咲いている。
ゴルフ随行記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夏は青々として眼がさめる。葭切水鶏棲家になる。螢が此処からふらりと出て来て、田面に乱れ、墓地を飛んでは人魂を真似て、時々は彼が家の蚊帳の天井まで舞い込む。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
葭切や郭公や梅雨の風に飛ぶ
普羅句集 (新字旧仮名) / 前田普羅(著)
田圃の小川では、葭切が口やかましく終日いで居る。杜鵑いて行く夜もある。が鳴く日もある。水鶏がコト/\たゝくもある。螢が出る。が鳴く。蛙が鳴く。蚊が出る。ブヨが出る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)