蘆屋あしや)” の例文
もうこのように減水したので蘆屋あしやへこいさんを送って行って上げようと思いながら、一つはこいさんがはなはだしく疲労しているのと
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
先日せんじつ歳暮せいぼまゐつたらまつうめ地紋ぢもんのある蘆屋あしやかま竹自在たけじざいつて、交趾かうちかめ香合かうがふ仁清にんせい宝尽たからづくしの水指みづさしといふので一ぷく頂戴ちやうだいしました。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
摂津の蘆屋あしや老人としより夫婦者めをとものが住むでゐる。神戸に居る息子の仕送りで気楽に日を送つてゐるが、先日こなひだからふとした病気でばあさんが床に就いた。
行子のほうは小田原一の分限者といわれる蘆屋あしや道益の一ノ姫だから、荷担ぎのほかに、倔強な供と女房ぐらいは連れ
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
蘆屋あしやであろうか、古天妙こてんみょうの作であろうか、そんなことは、彼の知識のほかである。彼がふと、おもしろく見たのは、古びた鉄肌かなはだに浮いている猿の地紋であった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蘆屋あしや迄の車中。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
昔悦子の初節句の時に京都の丸平まるへいで作らせたもので、蘆屋あしやへ移って来てからは、結局家族たちの団欒だんらんの部屋に使われている階下の応接間が
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おいらの眼が届かねえか知らねえが、話には聞いてる、これが蘆屋あしや姥口うばぐちの釜と云って、織田信長から柴田が拝領したという釜なら、どんな事を
それは蘆屋あしやにゐる谷本とめり博士の事で、鸚鵡あうむとカナリヤとが同じお喋舌しやべりである場合、私達は大抵がらの小さいカナリヤに味方をしなければならぬ義理合ぎりあひになつてゐる。
蘆屋あしやのような典雅てんがな地紋などありませぬが、よい具足を見るようなあらあらとした味のもの。釜の新しきは悪しといいますが、さすがに与次郎、湯味ゆあじ天妙てんみょうの古きものにも劣りませぬ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一軒の家へ皆が泊まっては迷惑だろうから二軒に分宿するとして、あたしは多分蘆屋あしやへ泊めてもらうことになるであろう、などと云ったりして
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
エヽ此水指このみづさしまこと結構けつこうですな、それからむかうのお屏風びやうぶ、三ぷくつひ探幽たんにゆうのおぢくそれ此霰このあられかま蘆屋あしやでげせうな
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
蘆屋あしやの幸子の家にもそれから四五日の間は、毎日のように視察と見舞とを兼ねた訪問客が絶えないので、その応接に忙しい思いをさせられたが
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
蘆屋あしやの家では母親以上にめいから慕われているそうだとか、いつも母親に代って姪の面倒を見てやっているのだとか、云うような評判が耳に這入はいって
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
最近奥畑が妙子との結婚問題について諒解りょうかいを求めに一二回蘆屋あしやへ現れたこと、幸子が会って見たところでは、表面真面目まじめらしい態度を装っているが
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
上本町うえほんまち九丁目の本家から、阪急蘆屋あしや川の分家、———幸子の家の方へ、前からも始終、一人が帰れば一人が来ると云う風にして、代る代る泊りに来ていたのが
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今年も残りわずかになった或る日の夕刻、例のごと蘆屋あしやの家の前にあわただしくタキシーを停めて、ちょっと門口まで御挨拶に伺いましたと、井谷が玄関から声をかけた。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
阪神電車の沿線にある町々、西宮にしのみや蘆屋あしや魚崎うおざき住吉すみよしあたりでは、地元じもとの浜でれる鰺やいわしを、「鰺の取れ/\」「鰯の取れ/\」と呼びながら大概毎日売りに来る。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
阪神電車の沿線にある町々、西宮にしのみや蘆屋あしや魚崎うおざき住吉すみよしあたりでは、地元の浜でれる鰺やいわしを、「鰺の取れ取れ」「鰯の取れ取れ」と呼びながら大概毎日売りに来る。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
どうせ此処ここまで来てくれはる親切あるねんやったら、奥様かって光子さんのため思てくれはるねんやろよって、御迷惑でもこれから蘆屋あしやまで光子さん送って行ったげて
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ことに今度は蘆屋あしやの滞在が長かったために、もう東京へ帰らないでもよいような気持にさせられていたのと、旅先の見知らぬ停車場で急にひとりぼっちにさせられたのとで
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)