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艶冶
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えんや
ふりがな文庫
“
艶冶
(
えんや
)” の例文
旧字:
艷冶
我当局の
忌違
(
きゐ
)
に触れん事疑なきの文字少からず。出版当時有名なる
訴訟
(
そしよう
)
事件を
惹起
(
じやくき
)
したるも、
亦
(
また
)
是等
艶冶
(
えんや
)
の
筆
(
ひつ
)
の
累
(
るゐ
)
する所多かりし由。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
姉の
柵
(
しがらみ
)
は返辞をしない。で
室
(
へや
)
の中は静かであった。柵は三十を過ごしていた。とはいえ
艶冶
(
えんや
)
たる
風貌
(
ふうぼう
)
は二十四、五にしか見えなかった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
紫巾
(
しきん
)
振袖
(
ふりそで
)
の
艶冶
(
えんや
)
の色子すがたは、黒ずくめの覆面と小袖の
膝行袴
(
たっつけ
)
にくるまれ、足さえわらじばきの軽々しい身ごしらえです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分は
之
(
これ
)
に
由
(
よつ
)
て
艶冶
(
えんや
)
を
衒
(
てら
)
ふ
或
(
ある
)
階級の
巴里
(
パリイ
)
婦人を観察する事が出来ました。
併
(
しか
)
し
是
(
こ
)
れ等の仮装の天使が真の
仏蘭西
(
フランス
)
婦人の代表者で無い事は勿論である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
しかもどっかに才気の閃きを見せて
艶冶
(
えんや
)
である、こんな少女を、一体どこで見つけて来たのだろうと、前川は感嘆しながら、心の底まで楽しくなっていた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
友田喜造は、お京の
艶冶
(
えんや
)
さを、うっとりとした眼つきで眺めていたが、盃をおくと、そっと、仲居を呼んだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それ
等
(
ら
)
は丸味を帯びた広い
額
(
ひたい
)
の
白毫
(
びゃくごう
)
の光に反映せられ、
反
(
かえ
)
つて
艶冶
(
えんや
)
を増す為めか、或ひはそれ等の部分部分にことさら丹念に女人の情を潜ませてあるのか、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
貞奴のあの魅惑のある
艶冶
(
えんや
)
な
微笑
(
ほほえ
)
みとあの
嫋々
(
じょうじょう
)
たる悩ましさと、あの
楚々
(
そそ
)
たる
可憐
(
かれん
)
な風姿とは、いまのところ他の女優の、誰れ一人が及びもつかない
魅力
(
チャーム
)
と風趣とをもっている。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この小都を
震駭
(
しんがい
)
させた大火災のあとですから、人心は極度に緊縮されてはいるけれど、土地そのものが本来、そういった
艶冶
(
えんや
)
の気分をそなえているものであれば、
絆
(
きずな
)
を解かれて
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
家来共や腰元共の居る席では自分の容貌に
退
(
ひ
)
け目を感じて自然不機嫌になったけれども、
蘭燈
(
らんとう
)
の影ほのぐらい密室に這入り、夫人のいつに変らない
艶冶
(
えんや
)
な
媚笑
(
びしょう
)
を眼の前にすれば
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
柳家三亀松の「芸」への好悪は別として、冬夜、男のオーバーの中へしっかりと抱き寄せられた美しい色白長身の芸者の婀娜姿だけは、たしかに
艶冶
(
えんや
)
な彼の「舌」から蘇ってくる。
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
その上に
巴里女
(
パリジェンヌ
)
の
艶冶
(
えんや
)
な
韵致
(
いんち
)
を加えたと言ったら、恐らくロンの全貌を想像することが出来よう。その演奏は必ずしも綺麗ではなく、また女らしいセンチメンタリズムなどは微塵もない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
内職などは厳重に禁じられているし、ものがものだけに極秘でやらなければならないが、手間賃の割がいいのと、自分も
艶冶
(
えんや
)
な気分が味わえる点とで、ちょっと一挙両得的な仕事だったのである。
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
清麗ではあるが
艶冶
(
えんや
)
ではなく、若いに似合わず着けている物に、赤色などのきわめて乏しい、年を経たならば烈女ともなろうか、真面目そうな娘を連れていた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いかにも
艶冶
(
えんや
)
な桃色の中へ心まで
溶
(
とろ
)
けいったさまで、新助の
半畳
(
はんじょう
)
などには耳を貸している風もない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徳川三百年、豊麗な、腰の丸み柔らかな、
艶冶
(
えんや
)
な美女から、いつしか苦味をふくんだ
凄艶
(
せいえん
)
な美女に転化している。和歌よりは俳句をよろこび、
川柳
(
せんりゅう
)
になり、
富本
(
とみもと
)
から
新内節
(
しんないぶし
)
になった。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
目をつぶって聴いていると、阪地の人特有な、
艶冶
(
えんや
)
な
媚
(
こび
)
がふくまれている。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
乱れた若衆髷、着崩れた男装、それが美貌と映り栄えて、歌舞伎の色若衆さながらの、
艶冶
(
えんや
)
たる
姿態
(
すがた
)
を
形成
(
かたちづく
)
っている。それが縛られているのであった。柱にくくりつけられているのであった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
艶
常用漢字
中学
部首:⾊
19画
冶
常用漢字
中学
部首:⼎
7画
“艶冶”で始まる語句
艶冶無腸