)” の例文
「前の奥さんのお墓を拝みに……なるほどなあ。そげな事じゃないかと思うた。イヤえ事を聞きました。話の筋が通って来ます」
「帰れるとも、めしでもくって、ゆっくり休むがえ、朝、眼を覚した時分には、舟はもう走りよる、飯は途中で炊いて、ぬくぬくを喫わせる」
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ぼん/\、未だ寝てへんのか、えもん見せたげよかと雇人はこともあろうに、豹一にあくどい色で彩った小さな画を見せた。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
え人だわ、二人とも。んでも……この前の会のことで、ビラば一枚一枚配って歩いたべさ。あれでさ……」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「あの男はなみの人じゃねえんだよ、あの肉焼き台バービキューはな。」と舵手が私に言った。「わけえ時にゃえ教育を受けたんで、その気になれぁ書物みてえにちゃんと立派にしゃべれるんだ。 ...
い事は覚えねえで不義わるさアして、此処こけへ走って来ると云うは何たる心得違こゝろえちげえなア親不孝の阿魔だか、呆れ果てた、われの根性を見限って勘当してくれるから、何処どけへでも出て
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「わしらそんなえのしたかて、何処へも見せに行くところがないわ。」
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
とるのが恐いんよ。これからさきに、うちのやうな者でもいことがあるんかしら? 何年さきのことやらうち知らんけど、恐いことがうちを待つてをるのやわ、きつと。うちそんな気がするん。
鬼神 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
「こいさん、えらいえのやそうやな」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
健めくらいか、悪いか?
大根の葉 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「この男は加波山かばさん事件の生残りじゃ。今でも、え荷物(国事犯的仕事。もしくは暗殺相手の意)があれば直ぐに引っ担いで行く男じゃ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「もうえ加減に、鎧みたいなもん着るのん止めときなはれ。うち拝むさかい、あんな暑くるしいもん着んといて。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そうか、そうかも判らん、え子には、そうしてお姿を拝ましてくだされるかも判らん、さあ、のう」
放生津物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そう云えば、百姓ってえ着物きたこと無えんだもの——似合うワケ無えさ。」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「お前たちに見せてやりたかったなあ。その仲のえ事というものは……お前たちは人間に生れながら新婚旅行なんてした事あるめえ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
え薬でもくれるのんか。なんし、わての痔ィは物言うても痛む奴ちゃさかい。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
神様はお在りになるが、神様は決してよこしまな事はなさらない、神様は吾われ人間に恵みをたれて、人間の為よかれとお守りくだされる。従ってえ事をする者は神様からお褒めにあずかる。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「あれア、もう百姓仕事も出來ねえ、ふにやけ身體になつて歸つてきたんし、手もまツ白くて、小さくなつて……い穀つぶしが舞えこんだもんだし。——あつたらごとになつて親の罰だべなんす。」
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
北枕なぞを喰うた後で、外へ出て太陽光ひなたに当ると、眼がうてフラフラと足が止まらぬ位シビレます。その気持のえ事というものは……。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「又、え振りして、武田のしたごッだべ!」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「このむきなら、明日あす追手おいてじゃ……」
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ウム。まあえ。それ位のところで調書を作ってくれい。自殺の原因は発狂とでもしておけ。警察の中で人を殺したのじゃからナ……ハッハッ……」
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
通って、軌道には乗らずに歩いて西の方へ行かっしゃった。初めて大学の服をば着て御座るのを見たけん、二人が表に出て、しばアらく見送っておった。え婿どんじゃなア
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あの乞食酒屋で一パイ」とか「乞食藤六の酒は量りがえ」とか云われる位であった。
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あの男は頭がえけになあ。何でも素早いたい。今に限った事じゃなか」
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「婆さん。留めるな留めるな。もうえもう良え。立たしとけ立たしとけ。こげな式の時には見送りに立たぬものと昔からなっとるが、今の若い者は流儀が違うでのう。心配せんでもえわい」
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あっアア。腹に沁みる沁みる。え酒でがすなあ先生。これは……」
眼を開く (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そげなものはどうでもえ。西村さんの仇讐かたきをば取ってやらにゃ」
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まだ時間はチット早いけれども、ちょうど潮時しおどきじゃけにモウこのまま、離座敷はなれに引取った方がよかろうと思うが……あんな正覚坊連中でもアンタ方が正座に坐っとると、席が改まって飲めんでな。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「アハハハ。イヤ。そんな事はドウでもえ。お前達がよる位置がわかればえのじゃが……ところで、それにしても怪訝おかしいのう。二人とも犯人の通り筋に寝ておったのに、二人とも気付かなかったんか」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)