“脳(のう)” の例文
旧字:腦
(あの犯人はその後捕縛されてはいないのだから、これはあり得ることだ)で、最初は、あるいは死体の脳(のう)味(み)そをとるのが目的だったかも知れない。
百面相役者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
翌日(よくじつ)眼(め)が覚(さ)めると、依然として脳(のう)の中心から、半径(はんけい)の違(ちが)つた円(えん)が、頭(あたま)を二重(にぢう)に仕切つてゐる様な心持がした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
病弱な彼女が寒さをおかして毎日毎夜内職を働いたその疲れがつもりつもって脳(のう)におよんだのである。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そういうお方は、さぞかし俺のことをお脳(のう)のスベっこい(バカな)奴とお思いになることだろう。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
童子さまの脳(のう)はもうすっかり疲(つか)れて、白い網(あみ)のようになって、ぶるぶるゆれ、その中に赤い大きな三日月(みかづき)が浮(う)かんだり、そのへん一杯(いっぱい)にぜんまいの芽(め)のようなものが見えたり
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
私(わたし)は此春先(このはるさき)——殊(こと)に花見頃(はなみごろ)の時候(じこう)になると、左右(とかく)脳(のう)を悪(わる)くするのが毎年(まいねん)のお定例(きまり)だ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
将に我頭を睨(にら)む、一小蛇ありて之に負(お)はる、依(よつ)て直(ただ)ちに杖を取りて打落(うちをと)し、一撃(げき)其脳(のう)を砕(くだ)けば忽ち死す、其妙機(めうき)恰(あたか)も死(し)せる蛇を落(おと)したるが如くなりし、小なる者は憐(あは)れにも之を生かし置(お)けり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
脳(のう)を打ったのでぼんやりしてしまったのだ。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
工夫に脳(のう)みそ しぼったが
魔法の笛 (新字新仮名) / ロバート・ブラウニング(著)
平岡は始めてそれを聞いた時には、本当にしなかつた。脳(のう)の加減(かげん)が悪(わる)いのだらうと思つて、好(よ)し/\と気休(きやす)めを云つて慰めてゐた。三日目(みつかめ)にも同じ願が繰り返された。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
合(あわ)すが如く恐らく同一人の仕業なるべく曲者は脳(のう)ずいの黒焼が万病にきき目ありという古来の迷信によりかかる挙に出でしものならんか去るにても世にはむごたらしき人鬼もあればあるものなり。
百面相役者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)