セント)” の例文
ラッドゲート・ヒル オールド・ベーリーのあるニューゲート街の南に、セントポール寺院から西に通じている街路。フリート街に続く。
おもてむきの解説ではセントマイケルはキリスト教の聖者であるが、ほんとうはもつとずうつと古い、異教時代の神か英雄であつたらしく
ミケル祭の聖者 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
セントピータア寺院の内部で説教があった。パイプオルガンが時々鳴った。会衆は樫の腰かけから立ったり坐ったりしてアーメンと云った。
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
その光は、さながらゴットシャルク(第一十字軍以前の先発隊を率いた独逸の修道僧)の見た、セントヒエロニムスの幻のように思われる。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ヌーヴィユ・ダーモンにあるセントユーラリ教会の堂守どうもりが、いい機嫌で、死人の健康を祝するために古い葡萄酒を飲みながら話したのである。
一つの波の絶頂に乗上げると、岩と氷河で固めた恐ろしい恰好かっこうセントエリアスが直ぐ鼻の先に浮き上る。文句なしに手が届きそうに見える。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
セントポウル孤島の近くに漂流しているところを発見救助されたが、セエビンはここに着眼して此処らに特殊の潮の流れがあるに相違ないと観
沈黙の水平線 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
また少し行くと右手に逆賊門ぎゃくぞくもんがある。門の上にはセントタマス塔がそびえている。逆賊門とは名前からがすでに恐ろしい。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ハルモニュウムが和やかな音で鳴りだす……シュウマンの〈セントフランシス物語〉。おチビさんが上手に奏いている。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
長らくセントバアソロミウ医院に勤めてゐたが、物言はずの沈黙家むつつりやと不作法なのとで聞えた男だつた。ある時若い貴婦人がこの医者の診察室に入つて来た。
ロンドンのセントアンドルー教区にある一軒の酒店エイル・ハウスの酒場に自分たちが腰をかけているのに気がついて大いに驚いた。
「何がわたくしの身にふりかかって来たというのでしょう、セントマリア! どうぞわたくしをあわれとおぼしめしてください。……この哀れな失恋の子を……」
またセントポール大会堂でその道徳的寓意モラルが説教の材料とされるに及んで、各地の教会の牧師も好んでこの作を引用し、世評は益々高まり、この書は大いに読まれて
耶蘇の弟子で一番耶蘇が生前中鍾愛したと云はるゝセントトーマス(Saint Thomas)一派の耶蘇教徒が、何時頃よりか知りませぬが、滄海の一粟のやうに
金剛智三蔵と将軍米准那 (旧字旧仮名) / 榊亮三郎(著)
バックの父親エルモは、巨大なセントバーナード種の犬で、判事の傍をしばらくも離れぬ伴侶であつた。それでバックはきつとその父親のあとを継ぐものと見られていた。
得なかった。セントグレゴリーも、善行について同様な意見であることを述べているようじゃ。
春の盗賊 (新字新仮名) / 太宰治(著)
爾時そのとき上帝高声で聖ジョージに、汝の馬は魔に魅された早く下りよと告げ、セントしかる上はこの馬魔の所有物たれと言いて放ちやると、三歩行くや否やたちまち虫とって飛び去った
もざいくのお菓子のようなセントバシルの寺院が南のはしに飾り物みたいに建っている。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
セントヨハネ教会の沢木教父は、慈しみ深い微笑ほほえみで先ずお松親子を安心させた。人手がないから何時迄もいてくれるように、と彼の方から嘆願した。お松ははらの底から涙をこみ上げさせた。
反逆 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
アルダーショットからロンドンまで一時間二十四マイルの速度で飛行し、セントポールの寺院を一まわりして今度は風に逆らって進んだが、あまり風が強かったから水晶宮の辺で地上に下った。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
デウス右近はローマにおいても日本の使徒として絶対のセントですからね、ゆめゆめ、そういう女性関係なんかはないとしてるんだな、信徒の間ではですよ、だが、右近その者を、よく調べてみると
小説のタネ (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゴアの耶蘇会ジェスイットセントパウロ会堂において、サンフランシスコ・シャヴィエル上人の腸丸ちょうがんをうけ、それをこの遺物筐シリケきょうに収めて、童子の片腕となす。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
フィオナ・マクレオドはイオナ島について書いてゐる中で、セントマイケルは大古の海洋の支配者マナナーンと同じ存在であつたらうと言つてゐる。
ミケル祭の聖者 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
善き金曜日グッド・フライデー」の次ぎの日というから、四月四日土曜日に、特別結婚証書を受取って、その日に、ブライトンのセントジェイムス教会で式を挙げた。
消えた花婿 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
セントアントニウスはあの通りの道心堅固な生涯を送りながら、なほはたの人の目に見える迄性慾の煩悶に陥つてゐた。
憎らしくなって、今日吐くか明日は吐くかと楽しみにして待っていたが、とうとうセントミチェルの港へ入るまで期待に添ってくれなかった。港へあがってから
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
サン・タントワヌの聖なる御顔………… サン・タントワヌはキリスト教教父のサントアントワヌ(英語読みならばセントアントニー)の名をとった地名であるので
これが波かと思う紺青色こんじょういろの大山脈が、海抜五千米突メートルセントエリアス山脈を打ち越す勢いで、青い青い澄み切った空の下をてしもなく重なり合いながら押し寄せて来る。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さて先王の運命は何人なんびとも知る者がなかった。その死骸がポント・フラクト城より移されてセントポール寺に着した時、二万の群集は彼のしかばねめぐってその骨立こつりつせる面影おもかげに驚かされた。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
になった銃の筒口がセントジェームス公園の緑を青く照りかえして右! 左! 右! 左!
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
一名セントジョージの馬ともいいこの菩薩は毒竜退治で名高い、この名の起りを尋ぬるに、往古上帝常に魔と争うたが、上帝は平和好き故出来るだけ魔を寛宥してその乞うままに物を与えた
「ですがクリヴォフ夫人、たしかセントアムブロジオだったでしょうか、死は悪人にもまた有利なり——と云いましたからな」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
以前はソルトセントマリイ Sault Ste. marie ——またミシガンが仏蘭西の植民地だった頃
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
(キリスト教と蛇とは仲がよくない)ドラゴンを踏まへてゐるのはイギリスのセントジヨージで、アイルランドのセントパトリツクでないことはかどちがひみたいだけれど
大へび小へび (新字旧仮名) / 片山広子(著)
セントポール寺院の大鐘が澄みわたった空気の中で一時を鳴らした頃、ロリー氏は、長靴を穿いて提灯を持ったジェリーに護衛されて、クラークンウェルへの帰途に就いた。
晩香坡バンクーバとは全然方角違いのアドミラルチー湾に深入りして雪をかむったセントエリアスの岩山と、フェア・ウェザー山の中間にガッチリと船首を固定さしているのにはあきれ返った。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのえらい人といふのはセントパトリツクのことださうで、さてセントパトリツクの伝には、この聖者はローマの奴隷として少年の日を過したアイルランドを愛する心深く
大へび小へび (新字旧仮名) / 片山広子(著)
微風にうなずくたびに匂う肉桂にっけい園、ゆらゆらと陽炎かげろうしているセントジョセフ大学の尖塔せんとう、キャフェ・バンダラウェラの白と青のだんだら日よけ、料理場を通して象眼ぞうがんのように見える裏の奴隷湖
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
九月二十八日はミケルマス(ミケル祭)といつて、セントマイケルを記念する祭日である。
ミケル祭の聖者 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
そのソルトセントマリイでも、ホテリングは模範的な教会員であり、伝道事業の献身的な活動家だったし、其の後一時カルカスカ郡 Kalkaska の奥へ隠棲して百姓をしていたのが、間もなく
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)