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翫
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もてあそ
ふりがな文庫
“
翫
(
もてあそ
)” の例文
結局は甲冑の如く床の間に飾られ、弓術の如く食後の腹ごなしに
翫
(
もてあそ
)
ばれ、
烏帽子
(
えぼし
)
直垂
(
ひたたれ
)
の如く
虫干
(
むしぼし
)
に昔しを
偲
(
しの
)
ぶ種子となる外はない。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
書画や骨董を
翫
(
もてあそ
)
ぶのは何よりの
楽
(
たのし
)
みだという人もあろうが主人一人の
慰
(
なぐさ
)
みで妻君や家族は一向書画の趣味を解せん。してみると主人一人の
翫具
(
おもちゃ
)
だ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
我等は
亭
(
あづまや
)
に入りて、
當壚
(
たうろ
)
の女をして良酒を供せしめ、續けさまに數杯を傾けて、此自然の活劇を
翫
(
もてあそ
)
べり。忽ちポツジヨの聲を放ちて歌ふを聞きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
万宝もこんな美人をそのまま置いては留守に家を乱さるるからこれを宮して謀反の道を断って思うままに
翫
(
もてあそ
)
んだのだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
抽斎は鑑賞家として古画を
翫
(
もてあそ
)
んだが、多く買い集むることをばしなかった。
谷文晁
(
たにぶんちょう
)
の
教
(
おしえ
)
を受けて、実用の図を作る外に、往々自ら人物山水をも
画
(
えが
)
いた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
花には花に
弄
(
ろう
)
せられざるもの誰ぞ、月には月に
翫
(
もてあそ
)
ばれざるもの誰ぞ、風狂も亦た一種の変調子、風狂も亦た一種の変調子なりとせば、人間いかにして変調子ならざる事を得む。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
叔父さんを無事に連れ帰るのは誰でもいいが、このままにしておいては
奸佞
(
かんねい
)
邪智の秋山男爵だ、この上如何なる悪計を持って我らを苦しめ、かつ鳩のような月子さんを
翫
(
もてあそ
)
ぶか知れない。
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
而れども是れが青年田口の作なりしことを思ひ、吾人が猶田舎に於て
紙鳶
(
たこ
)
を飛ばし、
独楽
(
こま
)
を
翫
(
もてあそ
)
びつゝありし時に於て作られし著述なることを思へば非難の情は愛翫の情に打勝れざるを得ず。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
『松塘詩鈔』に「鷲津文郁ノ
野島碕
(
のじまざき
)
ニ遊ンデ月ヲ
翫
(
もてあそ
)
ブヲ送ル。」また「鷲津文郁ノ都ニ帰ルヲ送ル。兼テ大沼子寿横山舒公ニ寄ス。」また「那山寺ノ閣ニ上リ重テ文郁ヲ送ル。」と題した作がある。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「文筆詩歌」等もまた「
詮
(
せん
)
なき事なれば捨つべき」ものである。法の悟りを得んとするものに美言佳句が何の役に立とう。美言佳句に興ずるごときものは「ただ
言語
(
ごんご
)
ばかりを
翫
(
もてあそ
)
んで理を得べからず」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
で、破壊しては新たに建直し、建直しては
復
(
ま
)
た破壊し丁度
児供
(
こども
)
が
積木
(
つみき
)
を
翫
(
もてあそ
)
ぶように一生を建てたり
破
(
こわ
)
したりするに終った。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
書物の外で、主人の翁の
翫
(
もてあそ
)
んでゐるのは、小さい
Loupe
(
ルウペ
)
である。砂の山から摘んで来た小さい草の花などを見る。その外
Zeiss
(
ツアイス
)
の顕微鏡がある。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その女子の意志の自由に
委
(
ゆだ
)
ぬといへど、そは只だ掟の上の事のみにて、まことは幼きより尼の
裝
(
よそほひ
)
したる
土偶
(
にんぎやう
)
を
翫
(
もてあそ
)
ばしめ、又寺に在る永き歳月の間世の中の罪深きを説きては
威
(
おど
)
しすかし
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
狩谷棭斎の
古泉癖
(
こせんへき
)
は世の知る所である。「歴代古泉貨幾百品。自幼之時愛玩之。或遇清間興適。攤列𤗉間品評之。」其子
懐之
(
くわいし
)
、其忘年の友渋江抽斎も亦古泉を
翫
(
もてあそ
)
んだ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
耽古者流の
愛
(
め
)
で
翫
(
もてあそ
)
ぶところとなるには至りしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
盆栽を
翫
(
もてあそ
)
んでいる時もその通りである。茶を
啜
(
すす
)
っている時もその通りである。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして意外にも、
僅
(
わずか
)
に二歳であった保さんが、父に「武鑑」を
貰
(
もら
)
って
翫
(
もてあそ
)
んだということを聞いた。それは
出雲寺板
(
いずもじばん
)
の「
大名
(
だいみょう
)
武鑑」で、
鹵簿
(
ろぼ
)
の道具類に彩色を施したものであったそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
然
(
しか
)
るに奇とすべきは、その人が
康衢
(
こうく
)
通逵
(
つうき
)
をばかり歩いていずに、往々
径
(
こみち
)
に
由
(
よ
)
って行くことをもしたという事である。抽斎は
宋槧
(
そうざん
)
の経子を
討
(
もと
)
めたばかりでなく、古い「武鑑」や江戸図をも
翫
(
もてあそ
)
んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「昨夜風自北。月泝走雲行。時当雲断処。光彩一倍生。」かくて十五夜に至ると、天は全く晴れて、
些
(
ちと
)
の
翳
(
くもり
)
の月の面輪を掠むるものだに無かつたので、茶山は夜もすがら池を
繞
(
めぐ
)
つて月を
翫
(
もてあそ
)
んだ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
翫
漢検準1級
部首:⽻
15画
“翫”を含む語句
翫弄
賞翫
翫具
翫賞
翫弄物
翫味
芝翫
愛翫
翫物
御賞翫
称翫
翫右衛門
翫具屋
翫読
翫香
賞翫力
耽翫
芝翫茶
翫雀
翫水
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