トップ
>
緩慢
>
かんまん
ふりがな文庫
“
緩慢
(
かんまん
)” の例文
が、それも瞬時のことで、すぐ運動が
緩慢
(
かんまん
)
になり、がぶッと水の中に
潜
(
もぐ
)
ってしまう。そして、この、がぶッがだんだん頻繁になる。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
流出速度が極めて
緩慢
(
かんまん
)
だったために、園長の体内に潜入していた
弾丸
(
たま
)
は流れ去るに至らず、そのまま
襞
(
ひだ
)
の間に
残留
(
ざんりゅう
)
してしまったんです。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蜘蛛は四ミリほどの褐色の剛毛の立っている脚で
緩慢
(
かんまん
)
に方向を転じた。兄は冷く笑った。それから彼の前に並んでいる犠牲者たちの歴史を説明した。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
次
(
つぎ
)
におこる
驚天動地
(
きょうてんどうち
)
の
争闘
(
そうとう
)
。
御岳山上
(
みたけさんじょう
)
におけるこの
篇
(
へん
)
の
大眼目
(
だいがんもく
)
を
描
(
えが
)
くために、あえて、ここに
緩慢
(
かんまん
)
な
数行
(
すうぎょう
)
をついやす
筆者
(
ひっしゃ
)
の
作心
(
さくしん
)
の
支度
(
したく
)
をゆるしたまえ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども
往復震動
(
おうふくしんどう
)
は
急
(
きゆう
)
に
緩慢
(
かんまん
)
となつたゝめ、
地動
(
ちどう
)
の
強
(
つよ
)
さは
次第
(
しだい
)
に
衰
(
おとろ
)
へてしまつた。
鎌倉
(
かまくら
)
や
小田原邊
(
をだはらへん
)
でも、
最
(
もつと
)
も
激
(
はげ
)
しかつたのは
最初
(
さいしよ
)
の
一分間以内
(
いつぷんかんいない
)
であつたといへる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
▼ もっと見る
「
緩慢
(
かんまん
)
なる人生の旅行者」と兄を評した彼は、実を云うと、物質的に不安なる人生の旅行者であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
瀑布の下から瀑布の上に向うて迂回した水勢の
緩慢
(
かんまん
)
な人工の水路が作られてある、労れた鱒魚はその水路を陸続として登って行く、それを人間が見ていて下の入口を
塞
(
ふさ
)
いで
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
くたびれたのか、足の動きが
緩慢
(
かんまん
)
だ。ちょっとよろよろとした。石につまずいたのだろう。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
それも、はなはだ、
緩慢
(
かんまん
)
な動き方で、船と波止場との間の水が少しずつ幅を広くしていくから、わかるようなものの、さもなければ、ほとんど、動いているとは受取れないくらいである。
出帆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこまでする間じゅう、彼女はいっさい無言のまま、何かさも
面白
(
おもしろ
)
くてたまらないといった風の
緩慢
(
かんまん
)
な身振りで、相変らずの明るい
狡
(
ずる
)
そうな薄笑いを、やや少しひらいた
唇
(
くちびる
)
に浮べていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
この自動車道は雲仙で一番見事な道路で野岳の
山脚
(
さんきゃく
)
を大廻りするため、勾配もカーヴも
緩慢
(
かんまん
)
でドライヴには持って来いであるが、その代り旧
山道
(
さんどう
)
なら三里に足らぬところを六里も
迂廻
(
うかい
)
するのであった。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
まさかそれが曹操兄弟とは気づかなかったので、
緩慢
(
かんまん
)
にも弓組の列を布いて、射術を競わせたものだった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっと
緩慢
(
かんまん
)
なる麻痺性のものでないといけぬ。わしの作った神経瓦斯は、全然当人に
自覚
(
じかく
)
がないような性質のものだ。
臭気
(
しゅうき
)
はない、色もなくて透明だ、もちろん味もない、
刺戟
(
しげき
)
もない。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ええ話しましょう」とすぐ乗気な返事をしたが、
活溌
(
かっぱつ
)
なのはただ返事だけで、挙動の方は
緩慢
(
かんまん
)
というよりも、すべての筋肉が湯に
煠
(
う
)
でられた結果、当分
作用
(
はたらき
)
を中止している姿であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ハムレットの正覚は厚い雲の中から月が顔をだすように非常に徐々に
緩慢
(
かんまん
)
に進行して、正常な自意識に到達するまでには相当な時間がかかったのでしょうが、意識が正常の
閾
(
しきい
)
に達したとき
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
緩慢
(
かんまん
)
な傾斜をなして北方に低下しているが、絶頂に特に隆起した地点がないから、曠野の全部を一望の下に
俯瞰
(
ふかん
)
することが出来ないで
遺憾
(
いかん
)
というべきである、三角点址の眺望は非常に宏闊であって
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
どう
緩慢
(
かんまん
)
に放っておいても、
所詮
(
しょせん
)
は
檻
(
おり
)
の中のものに
等
(
ひと
)
しい。左馬介が逃げきれるものではない——という自信たっぷりな気持を前提としてであるということはいうまでもない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
緩慢
(
かんまん
)
なる人世の旅行者」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
緩
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
慢
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“緩”で始まる語句
緩
緩々
緩漫
緩急
緩和
緩怠
緩徐調
緩怠至極
緩頬
緩衝