はかりごと)” の例文
天晴れでかしたり賢女なり貞女なり、それでこそ我が最愛の妻、さては我も心安し、ここ一番雄心ふり起こして、このはかりごとを実行しみばや。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
今といふ今汝の思ひは同じはたらき同じかたちをもてわが思ひの中に入り、我はこの二の物によりてたゞ一のはかりごとを得たり 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いまつばかりなり。すなはなん貴下きかもとほうず、稻妻いなづまさひはひせずして、貴下きかこのしよていするをば、大佐たいさよ、はかりごとめぐらして吾等われら急難きふなんすくたまへ。
長い竹をここ、かしこと、岩の上に渡したのは、牽綱ひきづなをわが勢にさからわぬほどに、すべらすためのはかりごとと云う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
友仁はその馬前へ往ってはかりごとを献じたところが、それが月沙の意にかのうて、脱公の幕僚に推薦してくれた。
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼このはかりごとを未だ陳べ終らざるに、我は彼等が翼をひらき、我等をとらへんとてほどなき處に來るを見たり 三四—三六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
じつは、少年せうねんともに、たゞ一口ひとくちに、堪難たえがた空腹くうふく滿みたしたきは山々やま/\だが、てよ、いまこのちいさいうをを、周章あはてゝたいらげたとてなにになる、農夫のうふ如何いかうゑても、一合いちごうむぎはずにいて一年いちねんはかりごとをする