秋草あきくさ)” の例文
にわには、はげいとうや、しおんのような、秋草あきくさみだれていました。なかにも、うす紅色べにいろのコスモスのはながみごとでした。
少年と秋の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あの廣々ひろ/″\とした富士ふじ裾野すそのには、普通ふつう登山期とざんきよりもすこおくれてはち九月くがつころには、ことうつくしい秋草あきくさがたくさんきます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
晩には門野かどのれて、神楽坂の縁日へ掛けて、秋草あきくさを二鉢三鉢買つてて、つゆりるのきそとならべていた。夜は深くそらたかかつた。星のいろしげひかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
無邪氣むじやき笑顏ゑがほいつもあいらしく、雪三せつざう菊塢きくう秋草あきくささかりなりとかきくを、此程このほどすぐさずともなひてはたまはらずやと掻口説かきくどきしに、なん違背ゐはいのあるはずなく、おまへさま御都合ごつがふにて何時いつにてもおともすべしと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから彼は、かねて連絡をつけてあった看護婦の秋草あきくさに渡した。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
秋草あきくさみだれた、野原のはらにまで、ちょうは一んでくるとがゆるんで、一ぽん野菊のぎくはなにとまってやすみました。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
秋草あきくさみだれた高原こうげんを、だんだんとおざかってゆく、手風琴てふうきんがきこえました。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)