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皺枯
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しわが
ふりがな文庫
“
皺枯
(
しわが
)” の例文
「案外智恵のない男だねえ——」と黒布の人物は
皺枯
(
しわが
)
れ声でいった。皺枯れ声だったけれども、確かに女性の声に紛れもなかった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「待て、待ちたまえ」と、
皺枯
(
しわが
)
れ声が、人々の背後にあった。雑役夫たちは、麻袋をふたたび氷の上に置いた。皺枯れ声の主は
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
私が待ち受けていたのは、正直に言うともっと
光沢
(
つや
)
の無い、単調で眠そうな、貧しそうに震えた、醜く
皺枯
(
しわが
)
れた老婆であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そういう父や母の姿にひきかえて、おばあさんの姿は、その
懐
(
なつ
)
かしい顔の一つ一つの線から
皺枯
(
しわが
)
れた声まで、私の裡に生き生きと残っている。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「飛んでもない、夢にも見覚えのない顔でしたよ。声は少し
皺枯
(
しわが
)
れて居りましたが、まるで絵に描いたような美しい顔で」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
(御新姐様や、
御身
(
おみ
)
ア、すいたらしい人じゃでの、安く、なかまの値で進ぜるぞい。)ッて、
皺枯
(
しわが
)
れた声でそう云うとね、ぶんと頭へ響いたんです。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さらにまた、その叫び声にまじりて、闘える犬の
唸
(
うな
)
るがごとき
皺枯
(
しわが
)
れたる
凄
(
すさ
)
まじき声をも聞けり。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
「ははあ」と私は、私自身の死んだことを証明するこの奇怪な書類を見おわってから、狐につままれたような気もちで、しかも少なからず不快な気もちで
皺枯
(
しわが
)
れ声で言った。
私はかうして死んだ!
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
田も畠も余るほど寄附のあれば今さらまたこの浄財をそのようなことに費すにも及ばじと思案にあまして、面倒なりよきに計らえと
皺枯
(
しわが
)
れたる御声にて云いたまわんは知れてあれど
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして
皺枯
(
しわが
)
れた声でおめき叫びながら雨の中を帰って行ってしまった。仁右衛門の口の辺にはいかにも人間らしい皮肉な
歪
(
ゆが
)
みが現われた。彼れは結局自分の
智慧
(
ちえ
)
の足りなさを感じた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
低い、元気の無い、
皺枯
(
しわが
)
れた声がして、駕の垂れが、微かに動いた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
その扮装は
散髪
(
ざんぎり
)
頭に白のうしろ鉢巻をして、黒木綿の
筒袖
(
つつそで
)
に
小倉
(
こくら
)
の
滝縞
(
たきじま
)
の
袴
(
はかま
)
をはいて、陣羽織を着て日の丸の扇をひらいて、大きな口をあいて
皺枯
(
しわが
)
れ声を振り立てて、かのオッペケ節を歌うのである。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
橋の
袂
(
たもと
)
でぱた/\/\と
団扇
(
うちわ
)
の音が致しまして、
皺枯
(
しわが
)
れ声で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あわただしく崖の小道を
馳上
(
かけあが
)
って来て、
皺枯
(
しわが
)
れた大声に
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
心は
涸
(
か
)
れて
皺枯
(
しわが
)
れて
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「飛んでもない、夢にも見覺えのない顏でしたよ。聲は少し
皺枯
(
しわが
)
れてをりましたが、まるで繪に描いたやうな美しい顏で」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あぶない!」僕は、引止めたが、それには耳を
藉
(
か
)
さず、はや間近に迫った一隊に向って、
皺枯
(
しわが
)
れ声だが、しかし太い力のこもった声で呼びかけた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
「オイ星宮君、十一時がきた!」と、此の時横合いから口を入れた大蘆原軍医の声は、
調子外
(
ちょうしはず
)
れに
皺枯
(
しわが
)
れていた。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかも降続きました
五月雨
(
さみだれ
)
のことで、
攫
(
さら
)
われて参りましたと
同一
(
おんなじ
)
夜だと申しますが、
皺枯
(
しわが
)
れた声をして
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仁右衛門は殺人者が生き残った者を脅かすような低い
皺枯
(
しわが
)
れた声でたしなめた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
夕方迎いに来たのは、顔はろくに見なかったが、
白粉
(
おしろい
)
の濃い、
皺枯
(
しわが
)
れた声で、首に古傷があったそうですよ。
銭形平次捕物控:050 碁敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一郎は声をかぎりに叫ぼうとしたが、咽喉がカラカラに乾いて、
皺枯
(
しわが
)
れた弱い声しか出なかった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「さて、飲もう。手酌でよし。ここで舞なぞは願い下げじゃ。せめてお題目の太鼓にさっしゃい。ふあはははは、」となぜか
皺枯
(
しわが
)
れた高笑い、この時ばかり天井に
哄
(
どっ
)
と響いた。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聲は藝人らしく少し
皺枯
(
しわが
)
れたアルトですが、この女には何にか言ひやうのない、特異なものがあります。
銭形平次捕物控:171 偽八五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「オーさん、そのことは黙っていた方がいいことよ」とこの話をきいてから死人のように
真蒼
(
まっさお
)
になっている鈴江が、
皺枯
(
しわが
)
れた声を無理に
咽喉
(
のど
)
からはき出すようにして叫んだ。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
與之松はヘタヘタと崩折れると、平次と金太の
裾
(
すそ
)
を掴んで
皺枯
(
しわが
)
れ聲を振りしぼるのです。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「妻だ。妻の死体だッ」彼の声は
醜
(
みにく
)
く
皺枯
(
しわが
)
れていた。「妻の死体が、すぐそこの窓の下に
埋
(
う
)
まっているのだ。それがもう腐って、ドンドン崩れて、その上に蠅がいっぱいたかっているのだ。 ...
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
髮の毛の
欝陶
(
うつたう
)
しいほど多い、ブルース唄ひのやうに少し聲の
皺枯
(
しわが
)
れた、そのくせ血色が
鮮
(
あざや
)
かで、滿身
悉
(
こと/″\
)
く
媚
(
こび
)
と肉感とででつちあげたやうなお染は、百足屋の内儀お貞の、淋しくつゝましく
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「航空長、本船を、
浦塩
(
ウラジオ
)
へ、向けろ」大佐は、
皺枯
(
しわが
)
れ声で、叫んだ。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは
正
(
まさ
)
に、例の
楊博士
(
ヤンはかせ
)
の
皺枯
(
しわが
)
れ
声
(
ごえ
)
に相違なかったのである。
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
老人の
皺枯
(
しわが
)
れた声が終るか終らないうちに
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
帆村の声が、別人のように
皺枯
(
しわが
)
れた。
千早館の迷路
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
皺
漢検1級
部首:⽪
15画
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“皺枯”で始まる語句
皺枯声
皺枯聲