発起ほっき)” の例文
旧字:發起
座光寺村の北原稲雄が発起ほっきで、伊那の谷のような安全地帯へ先師の稿本類を移したい、一時それを平田家から預かって保管したい
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
で間島さんは特に発起ほっきされて私のために幾分の寄贈金を集めてくれた。其金それが四百五十三ルピーばかりありました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
れはまぬ事だと思い、あだかも一念こゝに発起ほっきしたように断然酒をめた。スルト塾中のおお評判ではない大笑おおわらい
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そのうちに、誰が発起ほっきしたともなく、月の二十三日を地蔵講として、この日には、お地蔵様を祭って、楽しく遊ぼうではないか、という議が持上りました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
カーライルの歿後は有志家の発起ほっきで彼の生前使用したる器物調度図書典籍をあつめてこれを各室に按排あんばい好事こうずのものにはいつでも縦覧じゅうらんせしむる便宜べんぎさえはかられた。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
根岸競馬場は、横浜に外人居留地地区ができ、通商条約などが結ばれた後、外人ばかりの発起ほっきで創立されたというから、おそらく明治維新前からのものであろう。
私の郷里では従兄いとこが初めて大学を卒業した時、町民有志が旗を立てゝ三里ある停車場まで迎いに出かけた。そればかりでない。町の学務委員の発起ほっきで祝賀会が催された。
首席と末席 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
其処そこで三百円という類稀たぐいまれなる慰労金まで支出したのは、升屋の老人などの発起ほっきに成ったのである。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
くれば郷里の有志者および新聞記者諸氏の発起ほっきにかかる慰労会あり、魚久うおきゅうという料理店に招かれて、朝鮮鶴の料理あり、妾らの関係せしかの事件にちなめるなりとかや。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
そのまぼろしに打ちとうとして一念発起ほっきするに至ったことは明かであって、その夜の父は滋幹を相手に、まず不浄観の説明から始めて、自分は何とかして自分にそむいた人への恨みと
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「氷あずきを発起ほっきしたら、矢っ張りいけなかった。氷は冷すもので喰べるものじゃないってんだ」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
重井おもいと同行する事に決し、畝下熊野はたしたゆや(現代議士山口熊野)、小池平一郎こいけへいいちろう前川虎造まえかわとらぞうの諸氏と共に同地に至り同所有志の発起ほっきかかる懇親会にのぞみて、重井その他の演説あり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
青山君——伊那にある平田門人の発起ほっきで、近く有志のものが飯田いいだに集まろうとしている。これはよい機会と思われるから、ぜひ君を誘って一緒に伊那の諸君を見に行きたい。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
与次郎の話によると、じつはあれも自身の発起ほっきにかかるものだそうだ。その理由はいろいろあるが、まず第一に手近なところを言えば、あの会員のうちには、大学の文科で有力な教授がいる。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この話が伝わると、誰が発起ほっきともなく、養生所の新築披露目ひろめをかねて、一つ、希有けう大与力だいよりきの隠退を記念する捕縄供養とりなわくようをやろうではないか——イヤ、やらせようではないか、とはたから騒ぎだした。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼食ちゅうじきの折、誰か発起ほっきする。私もその一人だった。入学当座の決心はもううに消え失せていた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と照彦様が発起ほっきする。正三君はもとより望むところだ。尋常の勝負となれば、お相手も張り合いがある。こうもちかけないと、拾いにばかりいかされて、楽なことができない。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「元来が正覚君の発起ほっきさ。頓狂者だから、事を共にすると、飛んでもないことになる」
合縁奇縁 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
よろしいと我輩はしるこを附き合ったよ。少時しばらくすると、大将、今度は辛いものが欲しいなと謎をかけた。我輩も悟りが早い。川口君の為めにすし立食たちぐい発起ほっきしてやった。いかね。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
忠公も仲間になって、暫時しばらく遊んでいたが、しまいには彼奴あいつが悪い事を発起ほっきした。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
という団さんの発起ほっきで僕達は賑かな町筋を歩き始めた。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とお父さんが発起ほっきして、僕達は二軒茶屋へ寄り込んだ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と照彦様が発起ほっきした。しかし長くは続かなかった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と私はもとより発起ほっきしたのだから異存がない。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と広瀬君が無造作に発起ほっきした時
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それから菊太郎君が又発起ほっきした。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とまったく別のことを発起ほっきした。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「前借は君が発起ほっきしたんだぜ」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と勝田君が改めて発起ほっきした。
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
発起ほっきしたことがある。
髪の毛 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と新太郎君が発起ほっきした。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と坂本君が発起ほっきした。
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と高木君が発起ほっきした。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と僕が発起ほっきしても
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)