畜類ちくるい)” の例文
生母桂昌院けいしょういんの勢力というものから、大奥の婦女政治がかもされ、妖僧の進言が用いられ「畜類ちくるいあわれみ」などという、民を犬以下に見る法令が出て来たりした。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ヤイ、ヤイ、畜類ちくるい其樣そんな吾等おいらにく美味うまさうえるのか。』とつか/\鐵檻てつおりちかくにすゝ
このとき大地だいち開閉かいへいによつて土民どみん勿論もちろん彼等かれらつてゐた畜類ちくるい牛馬ぎゆうば駱駝らくだとういたるまでこと/″\くそれにまれ、八千はつせん乃至ないし一萬いちまん人口じんこうゆうしてをつたこの部落ぶらくそのために跡方あとかたもなくうしなはれたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「さなくば、仰せられても、さしつかえおざるまい。かほどまで、平家の門葉もんようばらに、みにじられ、無視されても、腹のたたぬやつは、うつけか、畜類ちくるいでおざろうぞよ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしじつは、この使命しめいの十ちう八九まではげらるゝことかたきをつてる、また、三年さんねん以來いらいしたしんで、ほとんど畜類ちくるいとはおもはれぬまであいらしくおもこの稻妻いなづまに、いさゝかでも辛苦しんくせたくないのだが