物靜ものしづか)” の例文
新字:物静
四隣しりん氣味きみわるほど物靜ものしづかで、たゞ車輪しやりんきしおとと、をりふし寂寞じやくばくとした森林しんりんなかから、啄木鳥たくぽくてうがコト/\と、みきたゝおととが際立きわだつてきこゆるのみであつたが、鐵車てつしやすゝすゝんで
場處ばしよ小石川こいしかは植物園しよくぶつゑんにちかく物靜ものしづかなれば、すこしの不便ふべんきずにしてほかにはまをむねのなき貸家かしやありけり、かどはしらふだをはりしより大凡おほよそ三月みつきごしにもなりけれど、いまだに住人すみてのさだまらで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やはらげられ物靜ものしづかに庄兵衞妻其方が名は何と云ぞ又國は何れ成やととはれしかばとよはげら/\わらひ出し御奉行さまわたしの名は御存ごぞんじないか私の夫は越後國寶田村の昌次郎しやうじらう私は梅と申して上臺の若夫婦わかふうふなり夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
して貰ひけるが或時貴君あなたの御本宅は何方いづかたに候やときけば老女私は馬喰町二丁目米屋市郎左衞門と云ふ旅籠屋はたごや隱居いんきよなれどもをひが居る所は家内も大勢おほぜいことに客の有る時は百人も押込おしこむゆゑ逆上のぼせあがりて血の道もおこす程のさわなれば私ばかり物靜ものしづか消光度くらしたくと別宅致せしなりとのはなし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)