燈明とうみやう)” の例文
新字:灯明
その奥には社殿の燈明とうみやう——わたしその一生を征旅せいりようちに送つて、この辺土に墓となつた征西将軍宮せい/\しやうぐんのみや事蹟じせきを考へて黯然あんぜんとした。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ひろはれてまゐつてから三ねんほどちましたとき食堂しよくだう上座じやうざざうかうげたり、燈明とうみやうげたり、そのほかそなへものをさせたりいたしましたさうでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
仏壇には燈明とうみやういて、その光が花に映つて居た。何かこしらへたものもそなへてあつた。叔父さんは庭口の方から其前を通つてみんなの居るところへ来た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なしければ藤八は先此方こなたへと云まゝ九助は座敷へ通りけるに正面しやうめんに十界の曼陀羅をかざり左右に燈明とうみやう香花かうげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
燈明とうみやうけさつしやりませ。洋燈らんぷでは旦那様だんなさま身躰からだあぶないとふで、種油たねあぶらげて、燈心とうしん土器かはらけ用意よういしてめえりやしたよ。追附おつつけ、寝道具ねだうぐはこぶでがすで。しづめてやすまつしやりませ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
九尺四方白木しらきの道場の正面には、不動明王の御像を掛けさせ護摩壇ごまだんゑ、燈明とうみやう供物くもつを並べ、中程のところに東海坊、白衣に袈裟けさを掛け、散らし髮に兜巾ときんを戴き、揉みに揉んで祈るのです。
六番目の燈明とうみやうに火をともし
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
燈明とうみやうの油はつはつ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)