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タバコ
ふりがな文庫
“
烟草
(
タバコ
)” の例文
彼が
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
そば
)
に
坐
(
すわ
)
って、
烟草
(
タバコ
)
を一本吹かしていると、間もなく
夕飯
(
ゆうめし
)
の
膳
(
ぜん
)
が彼の前に運ばれた。彼はすぐ細君に質問を掛けた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
殊に頭を丸剃りにして明治十三年頃新吉原を売り歩いた豊年糖売りがぶらさげた火の用心と大書した
烟草
(
タバコ
)
入れを洋服の腰のポケットに挿して歩く。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
女小姓は茶、
烟草
(
タバコ
)
、
手水
(
ちょうず
)
などの用を弁ずるもので、今いう
小間使
(
こまづかい
)
である。中臈は奥方附であると、奥方の身辺に奉仕して、種々の用事を弁ずるものである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
所が
凡
(
およ
)
そ人間の習慣は、
仮令
(
たと
)
い悪い事でも
頓
(
とん
)
に禁ずることは
宜
(
よろ
)
しくない。到底出来ない事だから、君がいよ/\禁酒と決心したらば、酒の代りに
烟草
(
タバコ
)
を始めろ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
傍らに
百日紅
(
さるすべり
)
の大木があって、曲りくねって、上に
被
(
かぶ
)
さっています。母が洗い物をしていられる時、花を拾ったり、流しから落ちる水に
蛙
(
かえる
)
がいるので、
烟草
(
タバコ
)
の粉を貰って来て釣ったりします。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
▼ もっと見る
あるいは蝘蜒が
怠慢
(
なまけ
)
て早く好報を
齎
(
もたら
)
さざりしを憤って、
烟草
(
タバコ
)
を食わせ、身を諸色に変じ、悩死するを見て快と称う。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
迚
(
とて
)
も
叶
(
かな
)
わぬ禁酒の
発心
(
ほっしん
)
、一箇月の大馬鹿をして酒と
烟草
(
タバコ
)
と両刀
遣
(
づか
)
いに成り果て、六十余歳の今年に至るまで、酒は自然に禁じたれども烟草は
止
(
や
)
みそうにもせず
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
健三は仕方なしに
旨
(
うま
)
くもない海苔巻を
頬張
(
ほおば
)
って、
好
(
い
)
い加減
烟草
(
タバコ
)
で荒らされた口のうちをもぐもぐさせた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富穀もまた
滑稽
(
こっけい
)
趣味においては枳園に劣らぬ人物で、
臍
(
へそ
)
で
烟草
(
タバコ
)
を
喫
(
の
)
むという
隠芸
(
かくしげい
)
を有していた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私は飯を
終
(
しま
)
って
烟草
(
タバコ
)
を吹かし出しました。私が立たないので奥さんも火鉢の
傍
(
そば
)
を離れる訳にゆきません。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かつてアイルランド人に聞いたは、かの国で最も強く臭う
烟草
(
タバコ
)
の
烟
(
けむり
)
を、驢の鼻へ吹き込むと、眼を細うし気が遠くなった顔付して、静まりおり、極めて好物らしいと。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
われらはまだ
煖
(
ぬく
)
まらぬ
臥床
(
ふしど
)
を降りて、まどの
下
(
もと
)
なる小机にいむかひ、
烟草
(
タバコ
)
燻
(
くゆ
)
らすほどに、さきの笛の音、また窓の外におこりて、
乍
(
たちま
)
ち断えたちまち続き、ひな
鶯
(
うぐいす
)
のこころみに鳴く如し。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
先
(
ま
)
ずこんな
塩梅式
(
あんばいしき
)
だから、
吾々
(
われわれ
)
一行の失策
物笑
(
ものわら
)
いは
数
(
かず
)
限りもない。シガーとシュガーを間違えて
烟草
(
タバコ
)
を買いに
遣
(
やっ
)
て砂糖を
持
(
もっ
)
て来るもあり、医者は
人参
(
にんじん
)
と
思
(
おもっ
)
て
買
(
かっ
)
て来て
生姜
(
しょうが
)
の
粉
(
こ
)
であったこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私はちょうど主人の帰りを待ち受ける客のような気がして済まなかった。私は
畏
(
かしこ
)
まったまま
烟草
(
タバコ
)
を飲んでいた。奥さんが茶の間で何か
下女
(
げじょ
)
に話している声が聞こえた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
優善は渋江一族の例を破って、
少
(
わこ
)
うして
烟草
(
タバコ
)
を
喫
(
の
)
み、好んで
紛華奢靡
(
ふんかしゃび
)
の地に足を
容
(
い
)
れ、とかく市井のいきな事、しゃれた事に
傾
(
かたぶ
)
きやすく、当時早く既に前途のために憂うべきものがあった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
先生は庭の方を向いて、澄まして
烟草
(
タバコ
)
を吹かしていた。相手は自然奥さんでなければならなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし彼は黙って
烟草
(
タバコ
)
を吹かしていた。こんな
些細
(
ささい
)
の点にも
姉弟
(
きょうだい
)
の気風の相違は現われた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
烟
漢検1級
部首:⽕
10画
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
“烟草”で始まる語句
烟草盆
烟草入
烟草屋
烟草休
烟草店