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濫費
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らんぴ
ふりがな文庫
“
濫費
(
らんぴ
)” の例文
それにしても私はこの為めに何んなに心を
濫費
(
らんぴ
)
したらう。何んなに心の弱小者になつて了つたらう。何も彼もそのために引繰り返された。
心の階段
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
外から見かけたこの貧寒さを取り
除
(
の
)
けるためには、少なからざる虚栄心の
濫費
(
らんぴ
)
をしなければ西欧に追っつけるものではなかった。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
シェストフに比べれば、ミハイローフスキイはさすがに社会学者だけあって、精力の
濫費
(
らんぴ
)
について甚だ慎重だったと言っていい。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
これによりて従来乱用せられつつある国権を制し
国帑
(
こくど
)
の
濫費
(
らんぴ
)
を防ぐが故にこれを実行し、
梓
(
あずさ
)
君は今日の会計検査官の地位を占めたのである。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それがどのようにひびいていたか。そして野村にとってそれはほんとうに「経済が上手」だったのか、
濫費
(
らんぴ
)
の反語だったのか。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
▼ もっと見る
日の光りの弱った夕暮の窓の下、暗い
洋燈
(
ランプ
)
から出る薄い
灯火
(
ともしび
)
の影、彼は暇さえあれば彼の視力を
濫費
(
らんぴ
)
して顧みなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
外では
勉強
(
べんきょう
)
に見せて内では
怠
(
なま
)
ける。表向きではすこぶる
謹厳
(
きんげん
)
の
風
(
ふう
)
を装いながら、裏面ではすこぶる
放蕩
(
ほうとう
)
する。あるいはまた表面
節倹
(
せっけん
)
で裏面
濫費
(
らんぴ
)
する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「年々の御戦費、相つぐ敗戦の苦杯。この上にも、国財を
濫費
(
らんぴ
)
しては、戦いに勝っても、御内政に敗れましょうが」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いいんだよ。君はただ小鳥のように飛びまわって、お金を
濫費
(
らんぴ
)
さえしていたら、何も文句はないじゃないか。」
字で書いた漫画
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
驚くべき
濫費
(
らんぴ
)
だ。私はこの男の計り知れざる財力に一種の
崇拝
(
すうはい
)
を感じた。不思議なもので、こんな時には、
嫉妬
(
しっと
)
の念よりも、崇拝の念が先におこるものだ。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
後年バッハが両眼の明を失ったのは、この少年時代の無分別な視力の
濫費
(
らんぴ
)
に原因するとさえ言われている。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
私は、あなたを、ずいぶん深く愛しているようです。日常の手紙などで、あなたのもったいない情熱をこんなに
濫費
(
らんぴ
)
されて、たまるものかという気がしました。
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
聞く所に由ると、公娼の営業組織は男子に必要以上の金銭を
濫費
(
らんぴ
)
させるように出来ているそうである。そういう在来の暴利的習慣は容易に改められるものでない。
私娼の撲滅について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
無秩序は多くの場合浪費から来る。それは、心の秩序に関して、金銭の
濫費
(
らんぴ
)
においてすでにそうである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
愛に貫かれてるそれらの
息吹
(
いぶき
)
の中に、反照と反映との行ききの中に、光の驚くべき
濫費
(
らんぴ
)
の中に、黄金の液の名状し難い流出の中に、無尽蔵者の浪費が感ぜられた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
富岡は、自分の心のなかに、仏印にゐた時のやうな、旅空での青春の
濫費
(
らんぴ
)
がきざし始めてきてゐたのだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
無用にして愚劣なる生活を
貪
(
むさぼ
)
りたいために、土地を
濫費
(
らんぴ
)
し、草木を消耗していくだけのことしかできないのだ、結局は天然を破壊し、人情を亡ぼすだけのことなのだ。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
水の
濫費
(
らんぴ
)
を防ぐためだった。然し、船長や監督は毎日お湯に入った。それは濫費にはならなかった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
その元金を片端から少しずつ
崩
(
くず
)
して行ってようよう今日まで
凌
(
しの
)
ぎを付けて来たのであるが、こいさんを喜ばすことで夢中になっている若旦那は、後先見ずに
濫費
(
らんぴ
)
するので
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
志士
(
しし
)
仁人
(
じんじん
)
もまたかかる醜態を演じて、しかも
交誼
(
こうぎ
)
を厚うする方便なりというか、大事の前に小欲を捨つる
能
(
あた
)
わず、前途近からざるの事業を控えて、
嚢底
(
のうてい
)
多からざるの資金を
濫費
(
らんぴ
)
す
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
この女の
濫費
(
らんぴ
)
を咎めた者の中に、十二弟子の一人であるイスカリオテのユダがいた。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
その日の夕刊は、あらゆる激情的な形容詞を
濫費
(
らんぴ
)
して、ほとんど社会面全ページをこの報道でうずめた。被害者蘭子の写真、明智小五郎の写真などが、見世物のようにデカデカと掲載せられた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
近頃、
口腹
(
こうふく
)
が
寡欲
(
かよく
)
になった
為
(
ため
)
、以前の様に
濫費
(
らんぴ
)
しません。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まさに、国費の
濫費
(
らんぴ
)
である。
曹叡
(
そうえい
)
ほどな明主にして、なおこの
弊
(
へい
)
に落ちたかと思うと、人間性の弱点の
陥
(
おちい
)
るところみな
軌
(
き
)
を
一
(
いつ
)
にしているものか、或いは、文化の自然循環と見るべきものか。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母がどんなにして自分たちを
産
(
う
)
んだか、また自分たちが、私生児という名であることも、また自分たちが生れるまえの、母が若さを
濫費
(
らんぴ
)
して来た行いなども、ちらちらと耳にはいる人の話が
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濫
常用漢字
中学
部首:⽔
18画
費
常用漢字
小5
部首:⾙
12画
“濫費”で始まる語句
濫費家
濫費者