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浸
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びた
ふりがな文庫
“
浸
(
びた
)” の例文
仕事は嫌いではなさそうですが、ちょっとばかり声が立つもんだから
清元
(
きよもと
)
なんかに
現
(
うつつ
)
を抜かして朝から晩まで里春のところに入り
浸
(
びた
)
り。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ちょろりと
占
(
せし
)
めて出て行ったきり、色町へ入り
浸
(
びた
)
って、七日も十日も帰らなかったことなども、今さらのように言い立てられた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
藤代様のお屋敷の大部屋で毎日賭場が開けるもんですから、長作はその方へばかり入り
浸
(
びた
)
っていて、仕事にはちっとも出ません。
半七捕物帳:27 化け銀杏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「貴公まで、からかってはいけない。わざと、ここ数日は、入り
浸
(
びた
)
ッて見せたが、石焼豆腐のむすめになど、心まで許しているわけじゃない」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「辰五郎兄いを助けるつもりで働いて下さるのは有難いが、何だか斯う、朝から晩までお常のところへ入り
浸
(
びた
)
つて居ると、姐さんが可哀さうで」
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
わたくしも「はあ、今に行くわ」と返事をして相変らずぐず/\していますと、池上は結局それを悦んで、殆どわたくしの茶室へ朝夕入り
浸
(
びた
)
りです。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私はやつとそれを持ち上げて
寢臺
(
ベッド
)
とその
住居者
(
オキュパント
)
を水
浸
(
びた
)
しにした。そして飛ぶやうに部屋に歸つて、私の水差を持つて來て改めてその
寢臺
(
ベッド
)
に洗禮を授けた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
いや、そんなことにならないでも、こいさんがその西宮の家へ毎日入り
浸
(
びた
)
っていることが啓坊の兄さんの方へ聞えただけでも、先方ではわれわれを何と思うだろうか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大にドキマギした
容子
(
ようす
)
であったが、調子を更えて「
宮前
(
みやまえ
)
のお広さん処へは
如何
(
どう
)
参るのです?」と胡魔化した。宮前のお広さん処は、始終諸君が入り
浸
(
びた
)
る其
賭博
(
とばく
)
の巣なのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蓮花の世界に
入
(
い
)
り
浸
(
びた
)
る心持ちは、どうも仏教的な理想と切り離し難いようである。それはただに仏教の経典に蓮華が説かれ、仏教の美術に蓮華が作られているからのみではない。
巨椋池の蓮
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
それから
後
(
のち
)
暫くの間、殺生は無論の事、本職の獣医の方も
放
(
ほ
)
ったらかしにして、毎日のようにK市の遊廓に
入
(
い
)
り
浸
(
びた
)
ったものだそうで、お磯婆さんや、
養父
(
ちち
)
の玄洋が泣いて
諫
(
いさ
)
めても
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
旦那の骨折りで裁判にもならずに
刪
(
けづ
)
り去られて、お勝が戸主、自分が後見といふことになつてからは、旦那が殆んど入り
浸
(
びた
)
りに長火鉢の前へ坐るので、さま/″\に囃し立てる村の評判が
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
何か弱味を握っている忠太郎をバラして、水熊に恩を着せ、それをキッカケに
入
(
い
)
り
浸
(
びた
)
る寸法と見てとった。色と慾と一度に手入れとは成程、ばくち言葉でいう
尻目同
(
けつめどう
)
、
素盲
(
すめくら
)
とはよくつけた
渾名
(
あだな
)
だ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
源吉は死んだ戀女房のことも忘れ、通と意氣との見榮も捨てて、たゞもう愚に返つたやうに、日が暮れるのを合圖に、猿屋町に入り
浸
(
びた
)
りました。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに
負
(
お
)
ぶさる気もないが、酒は飯より好きな武松である。それに
身
(
み
)
ままも出来るとあっては、ついここへ入り
浸
(
びた
)
りの恰好となったのもむりはない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其内親分がある
寡家
(
ごけ
)
に入り
浸
(
びた
)
りになって、お広さんが其処に泣きわめきの幕を出したり、かかり子の亥之吉が盲唖学校を卒業して一本立になっても母親を
構
(
かま
)
いつけなかったり
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「他に、下男の猪之松とは?——あれもなか/\の良い男で、近頃は三崎町の茶屋へ入り
浸
(
びた
)
ると聽きましたが——」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たまらなくなって水
浸
(
びた
)
しになるのを覚悟で葦の茂みのなかへ隠れこんだ。ふるえながら葦の根を這った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人の兄の唖の
巳代吉
(
みよきち
)
は最早若者の数に入った。彼は其父方の血を
示
(
しめ
)
して、口こそ利けね怜悧な器用な
華美
(
はで
)
な職人風のイナセな若者であった。彼は吾家に入り
浸
(
びた
)
る博徒の親分を
睨
(
にら
)
んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
まだ若い平次が、飮むのも遊ぶのも不思議はありませんが、水茶屋の評判娘のところに入り
浸
(
びた
)
つて、他愛もなく日を送つて居るのは、全く何うかして居るとしか見えません。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「分るものか、みもちのよくないあの男のことだ。また
権堂
(
ごんどう
)
にでも
入
(
い
)
り
浸
(
びた
)
っておるだろう」
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つりあがった女の眼は、光の窓みたいに
尖
(
とが
)
っていた。髪は肩へ散らかっているし、水
浸
(
びた
)
しになった着物だの、肌だのを持って、寒いとも感じないほど、逆上してしまっている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下手な雑俳を
嗜
(
たしな
)
む
露
(
つゆ
)
の
家
(
や
)
正吉
(
しょうきち
)
という中老人、これは
野幇間
(
のだいこ
)
のような男ですが、筆蹟が良いので瓢々斎に調法がられ、方々の
献句
(
けんく
)
の代筆などをして、毎日のように入り
浸
(
びた
)
っておりました。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ほとぼりがさめるとまた、王婆の奥に入り
浸
(
びた
)
って、金蓮相手に、したい
三昧
(
ざんまい
)
な
痴戯
(
ちぎ
)
に
耽
(
ふけ
)
った。——女も今では、誰におどおどすることもない。晩になってもせかせか帰る灯はないのだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浸
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“浸”を含む語句
水浸
浸潤
浸々
浸水
煮浸
浸入
入浸
浸染
浸透
浸礼
浸酒
雨浸
浸剤
浸出
浸込
浸蝕
酒浸
浸漸
浸附
打浸
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