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みぎわ
ふりがな文庫
“
水際
(
みぎわ
)” の例文
しんとしてさびしい磯の
退潮
(
ひきしお
)
の
痕
(
あと
)
が日に
輝
(
ひか
)
って、小さな波が
水際
(
みぎわ
)
をもてあそんでいるらしく長い
線
(
すじ
)
が
白刃
(
しらは
)
のように光っては消えている。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
今拵えた花綵を池の
水際
(
みぎわ
)
に浸していましたが、それが水の中から咲き出たように
漣
(
さざなみ
)
に揺られて、二つにも三つにも屈折して見えました。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
が、その声がまだ消えない内に、もうあの猪首の若者は、さらに勝敗を争うべく、前にも増して大きい岩を
水際
(
みぎわ
)
の砂から抱き起していた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれど二人とも、満身
朱
(
あけ
)
にまみれ、そこの
水際
(
みぎわ
)
まで来ると、「残念」といいながら、はや歩む力もなく坐ってしまった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黯青
(
あんせい
)
に光る空。白く光る水。時々ポチャンと音して、魚がはねる。
水際
(
みぎわ
)
の林では、
宿鳥
(
ねどり
)
が物に驚いてがさがさ飛び出す。ブヨだか蚊だか小さな声で
唸
(
うな
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
十四郎の妻の
滝人
(
たきと
)
は、こうして一時間もまえから、沼の
水際
(
みぎわ
)
を放れなかったのである。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
水際
(
みぎわ
)
に立って、折から
引汐
(
ひきしお
)
の川底ばかり
睨
(
にら
)
んでいた平次も、
諦
(
あきら
)
めて立ち上がります。
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
東の空には八ヶ嶽が連々として
聳
(
そび
)
え連なり、北には岡谷の小部落が白壁の影を水に落とし、さらに南を振り返って見れば、高島城の石垣が灰色なして
水際
(
みぎわ
)
に
峙
(
そばだ
)
ち、諏訪明神の森の姿や
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
船頭は驚いたように言って艪をぐいと
控
(
ひか
)
えて、舳を陸にして一押し押した。と、舟はすぐ楊柳の浅緑の葉の煙って見える
水際
(
みぎわ
)
の
沙
(
すな
)
にじゃりじゃりと音をさした。許宣は水際へ走りおりた。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夜にして始めて霊夢を蒙り、その
払暁
(
あかつき
)
水際
(
みぎわ
)
に
立出
(
たちい
)
でて
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
水際
(
みぎわ
)
なる
蘆
(
あし
)
の一葉も紅葉せり
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
彼は今も相手の投げた巌石を危く
躱
(
かわ
)
しながら、とうとうしまいには勇を
鼓
(
こ
)
して、これも
水際
(
みぎわ
)
に
横
(
よこた
)
わっている牛ほどの岩を引起しにかかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
余が明治三十六年の夏来た頃は、汽車はまだ森までしかかゝって居なかった。大沼公園にも
粗末
(
そまつ
)
な料理屋が二三軒
水際
(
みぎわ
)
に立って居た。駒が岳の噴火も其後の事である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
病人に
掬
(
すく
)
って持って行くよりも、城太郎はふと、自分が先に飲みたくなったのであろう、五、六歩位置を移して、今度は
水際
(
みぎわ
)
に膝をつき、
家鴨
(
あひる
)
のように水面へ首を伸ばしたが
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町人
(
まちびと
)
はみなこの小川にてさまざまのもの洗いすすげど水のやや濁れるをいとわず、流れには板橋いくつかかかりて、
水際
(
みぎわ
)
には背低き
楓
(
かえで
)
をところどころに植えたる、何人の思いつきにや
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
背後
(
うしろ
)
の山に落ちかけた夕陽の光が、紅葉しかけた
前山
(
ぜんざん
)
の一角を赤赤と染めていた。彼は
水際
(
みぎわ
)
におりるのを
止
(
や
)
めて藤葛を見つめていたが、どうもその藤葛に山上へ登る秘密があるように思われて来た。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼等はもうその時には、みんな河原の
水際
(
みぎわ
)
により集まって、美しい天の安河の流れを飛び越えるのに熱中していた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから車で大津に帰り、小蒸汽で石山に往って、
水際
(
みぎわ
)
の宿で
鰉
(
ひがい
)
と
蜆
(
しじみ
)
の馳走になり、相乗車で
義仲寺
(
ぎちゅうじ
)
に立寄って宿に帰った。
秋雨
(
あきさめ
)
の降ったり止んだり淋しい日であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その冷ややかな陰の
水際
(
みぎわ
)
に一人の丸く
肥
(
ふと
)
ッた
少年
(
こども
)
が釣りを
垂
(
た
)
れて深い清い
淵
(
ふち
)
の水面を余念なく見ている、その
少年
(
こども
)
を少し
隔
(
はな
)
れて柳の株に腰かけて、一人の旅人、零落と疲労をその
衣服
(
きもの
)
と
容貌
(
かお
)
に示し
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
武士は
前
(
さき
)
に立って歩いて行ったが、
水際
(
みぎわ
)
に出ると毅を見返った。
柳毅伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼はそろそろと岩の
角
(
かど
)
を
這
(
は
)
いおりて
水際
(
みぎわ
)
に近づこうとした。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“水際”の意味
《名詞》
水のほとり、水辺、みずぎわ。
(出典:Wiktionary)
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“水際”で始まる語句
水際立