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水母
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くらげ
ふりがな文庫
“
水母
(
くらげ
)” の例文
末遠いパノラマのなかで、花火は星
水母
(
くらげ
)
ほどのさやけさに光っては消えた。海は暮れかけていたが、その方はまだ明るみが残っていた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
二つの落下傘が、あとになり先になり、巨大な
水母
(
くらげ
)
の様に、フワリフワリと落ちて来る光景は、世にもすばらしい見ものであった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
海は
日毎
(
ひごと
)
に荒模様になって行った。毎朝、
渚
(
なぎさ
)
に打ち上げられる漂流物の量が、急に
増
(
ふ
)
え出した。私たちは海へはいると、すぐ
水母
(
くらげ
)
に刺された。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私の膝の上に、私の腕の中に、惜しげもなく投げ出されてる彼女の肉体は、軟骨質の
水母
(
くらげ
)
——もしそういうものがあれば——それのようだった。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
自然は
水母
(
くらげ
)
の化石を百万年の後に残し、人間の夢は今この雪の結晶を十年博物館の一隅に設えて、暖国に育った子供達に顕微鏡を覗かせたいと願う。
雪の化石1
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
しかし不思議なのはその身体です。これはまるで
水母
(
くらげ
)
のように透きとおっていて、よほど傍へよらないと見えません。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
近づいて見るとそれは、海にある何等かの潮流と界を接する燐光体の濃厚な集群で、海生虫の幼虫や、
水母
(
くらげ
)
やその他から成立していることが判った。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
と私はもう
水母
(
くらげ
)
のようになって、筆記が沢山溜まっていることを忘れてしまった。これだから成績が悪いのである。
恩師
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
薔薇のような紅い地色に黄の小菊の花弁を散らしたような肉体を持つ魔性の生物は、渚に泳ぎ寄る
水母
(
くらげ
)
のように、収縮と拡張の二運動を律動的に繰返すのだ。
恋愛曲線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
勿論海の動物ばかりで、その中には
水母
(
くらげ
)
のやうな大きい動物もある。相房州の沿海に浮游して發光するオキ水母は、傘の直徑一寸餘、口腕の長さ二三寸位もある。
光る生物
(旧字旧仮名)
/
神田左京
(著)
次に國
稚
(
わか
)
く、
浮
(
う
)
かべる
脂
(
あぶら
)
の如くして
水母
(
くらげ
)
なす
漂
(
ただよ
)
へる時に、
葦牙
(
あしかび
)
五
のごと
萠
(
も
)
え
騰
(
あが
)
る物に因りて成りませる神の名は、
宇摩志阿斯訶備比古遲
(
うましあしかびひこぢ
)
の神
六
。次に
天
(
あめ
)
の
常立
(
とこたち
)
の神
七
。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
プラングトンから、
水母
(
くらげ
)
から、貝殻から、甲足類から、彼等は人間を目的にしないでやつて来た。
釣れない時:君は何を考へるか
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
もうすっかり
闇
(
くら
)
くなっていた。近くの海面からイナの
跳
(
は
)
ねる音がひびいてきた。そして水の中を白坊主のような
水母
(
くらげ
)
がいくつも浮いて通った。彼女はあたりを見廻した。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
使女A (笑い)
水母
(
くらげ
)
が躍っているように見えるではござりませぬか。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
船をさえ見ればそうした
悪戯
(
わるさ
)
をしおるんだから、海
坊主
(
ぼうず
)
を見るようなやつです。そういうと頭のつるりとした
水母
(
くらげ
)
じみた入道らしいが、実際は元気のいい意気な若い医者でね。おもしろいやつだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
世にからく汐路ただよふ
水母
(
くらげ
)
にもわれよく似たり
住処
(
すみか
)
なければ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
「何、
水母
(
くらげ
)
にやられたんだ。」
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一、
紅
(
あか
)
い
水母
(
くらげ
)
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
薄明りの平野のなかへ、星
水母
(
くらげ
)
ほどに光っては消える遠い市の花火。海と雲と平野のパノラマがいかにも美しいものに思えた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
無数の掻き
疵
(
きず
)
が所きらわずつけられ、その上、
水母
(
くらげ
)
の様にうず高くなった乳房の上に、鳥井青年の断末魔の
歪
(
ゆが
)
んだ指が、
熊手
(
くまで
)
の様に肉深く喰入っていた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
柔かな円っこい弾力性のある、海綿を
水母
(
くらげ
)
に包んだような而も生温い香りのする、「彼女の肉体」をであった。
理想の女
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
メリー号の実際の指揮者であるクーパー事務長は、
無惨
(
むざん
)
にも今や
水母
(
くらげ
)
に目鼻をつけたような怪物に手どり足どりにされ、
舷側
(
げんそく
)
をこえていずれにか連れられていく。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
陸の動物では先づ螢、海の動物では一二の原生動物、
水母
(
くらげ
)
、きいとぷてらす、海螢、蝦、螢烏賊、裸鰯位なものだ。それ以外の動植物は總て、色々な文献から請賣する。
光る生物
(旧字旧仮名)
/
神田左京
(著)
私たちは海へはひると、すぐ
水母
(
くらげ
)
に刺された。私たちはそんな日は、海で泳がずに、渚に散らばつてゐる、さまざまな綺麗な貝殼を、遠くまで採集しに行つた。その貝殼がもうだいぶ溜つた。
麦藁帽子
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
水母
(
くらげ
)
のようにふわふわ漂つている時に、泥の中から
葦
(
あし
)
が
芽
(
め
)
を出して來るような勢いの物によつて御出現になつた神樣は、ウマシアシカビヒコヂの神といい、次にアメノトコタチの神といいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
骨あれば世にも
逆
(
さか
)
ふを海にすむ
水母
(
くらげ
)
しもこそうらやましけれ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
「
水母
(
くらげ
)
かな?」
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わしはこの
隙見
(
すきみ
)
によって、川村の奴が、どれ程深く瑠璃子に溺れているかを知ることが出来た。彼は姦婦の柔かい指先の一触によって、たちまち
水母
(
くらげ
)
の様になってしまった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
中にはまたこの妖婆アダムウイッチの日記帳にあるごとくそれが鼠からか
水母
(
くらげ
)
からか知らないが、とにかく他の動物から変じて人間になっているという仲間も少くはないだろうことを予想していた。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
では、どんな種類の子供にそれが出来るかと云うと、直ちに聯想するのは、小さい時から毎日酢を飲ませられて、身体の節々が、
水母
(
くらげ
)
みたいに自由自在になっている、軽業師の子供です。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
深海の軟体動物にしても、一方にはタコや
水母
(
くらげ
)
のような相変らず下等なものもいるし、また一方では、人類と同様あるいはそれ以上のスピードで進化した海底超人もいるということになるのである。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何ともえたいの知れぬ、
水母
(
くらげ
)
の様に無力な怪物が、彼を怖がらせたのだ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのクーパーも、かれの知識ではどうにも解くことのできない
水母
(
くらげ
)
のばけものみたいな怪物団の前にひきすえられて、まったく観念の
眼
(
まなこ
)
を
閉
(
と
)
じた。この上、立ちあがって争ってみてもだめだと思った。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いくら揺すぶっても、木島の身体は
水母
(
くらげ
)
のように手応えがなかった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、身体は
水母
(
くらげ
)
のように力なく、クナクナとくずおれて行った。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
水母
(
くらげ
)
の様な骨無しだったりした。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“水母”の意味
《名詞》
(スイボ)くらげの漢名。
(くらげ)くらげの漢字表記(熟字訓)。
(出典:Wiktionary)
“水母(クラゲ)”の解説
クラゲ(水母、海月、水月、蚱)は、刺胞動物門に属する動物のうち、淡水または海水中に生息し浮遊生活をする種の総称。体がゼラチン質で、普通は触手を持って捕食生活をしている。また、それに似たものもそう呼ぶこともある。
(出典:Wikipedia)
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
母
常用漢字
小2
部首:⽏
5画
“水”で始まる語句
水
水際
水底
水溜
水上
水面
水晶
水嵩
水車
水瓶