雪の化石1ゆきのかせき1
北海道の奥地深く、標高千メートルの地点では、冬中気温は普通零下十度以下で、雪の結晶は顕微鏡下に、水晶の骨組のように繊細を極めた姿を顕している。その六方の枝の端の端まで行き渡った輪廓の鋭さは、近代硝子器の持つ感覚である。このような結晶が、冬ご …