母様っかさま)” の例文
旧字:母樣
文「いや少しは分りそうだ、兎も角も此方へ……お母様っかさま、藤原うじがまいりました、お母様、分りましたか、お萓も一緒に……」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ナアニ女の足ですから沢山はきますまいから、早くお國と源次郎の首を二つ取って、お母様っかさまのお目の見える内に御覧にお入れなさい、早く/\
い「御身代の直るように私も神信心かみしんじんをして居ります、どうぞお母様っかさまにお目にはかゝりませんが、お大事になさるようにおっしゃってくださいまし」
文「重々相済みません、一応申聞もうしきけた上で存分になる心得でございます、御立腹ではございましょうが少々の間彼方あちらへ、森松やお母様っかさまをお連れ申せ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
若「いゝえ、私はまたお前に叱られる事が出来たのだけれども、お母様っかさま詫言わびごとをして、どうか此のお方と一緒にうちへ置いて戴くようにしておくれな」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今お母様っかさまにお話をしたが、お兄様あにいさまは去年あの始末、お前にも早く養子をしたいと思ったが、親の慾目で、何うかまア心掛のよいむこをと心得て居ったが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母様っかさま、是れには種々いろ/\理由わけがありますんで、わたくしが少し云い過ぎた事が有りまして、う云う事に成りまして済みませんが、お諦め遊ばして下さいまし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幸「それはどうも、で其の東京におあにいさんが逃げてしまっても、お母様っかさまがおいでなさるか、お母様はさぞお驚きで」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「それじゃアお隅さん、本当に旦那の敵いつてえかんげえもなえ、惣吉さんもお母様っかさまも置いてくというのかア」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
い「あれ、折角お母様っかさまに上げたいと思って上げたのに、お返しなさるって、そうして指環も返そうとおっしゃるのは、貴方あなたお気に入らないのでございますか」
はいお兄様あにいさまどうも重々じゅう/\の不孝でございました、まア是迄御丹精を受けましたわたくしが、お兄様のお言葉を背きましては、お母様っかさま猶々なお/\不孝を重ねまする因果者
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文「帰りは明方あけがたでございます、若し是非ない訳で帰れんければ四五十年は帰れぬ、たった一人の大切のお母様っかさまわしになり代って孝行を尽してくれぬでは困る」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あ「お母様っかさま、あなたは納豆売風情に握飯を貰ってあがりとうございますか、それ程食りたければ皿ごと食れ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十六年あとにお父様とっさまが屋敷を出て行方知れずになってから、親子三人でお前様のお世話になり、其のうち母様っかさまも亡くなってからは、山之助も私もお前様に育てられ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幸「お前悪いよ、此方こっちがお母様っかさまと一緒なら宜しいが、男ばかりの処へ女を呼ぶのは悪いから止しねえ、奥様然として居るが、殿様でもある者で知れでもすると悪いよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは其の方が云わんからっても此方こちらで存じてる、の時はお母様っかさまが嫉妬深くって、其の方の母がうちへ帰らんでもかったのを、縁切で帰るという訳に成ったのだが
幸「關善さんへは帰る時話をして、今パッと話すと面倒だから……それから貴方の身の上だけはお母様っかさんにお逢わせ申しますが、お母様っかさま矢張やっぱり東京においででございますか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これお國、手前はお母様っかさまが義理をもって逃がして下すったのは、樋口屋の位牌へ対して済まんと道まで教えて下すったなれども、自害をなすったも手前故だ、たった一人の母親を
千「もしお母様っかさま、二番が出来ましたから召上れ、少し詰って濃くなりましたから上りにくうございましょう、おいやならば半分召上れ、あとのおりのあります所は私が戴きますから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
只今の身の上で会おうと云うのは無理な話、そんな見苦しい姿なりでうろ/\して、炭などを担いでお父様お母様っかさまと云われた訳ではあるまい、田舎育ちとは云えあんまり分別がないではないか
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
隅「大層真赤に酔って、旦那様はまだお帰りはありますまい、お母様っかさまは寺参りに」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もうお母様っかさまを見送ったからにゃアあとに少しも思い残すことはない、此の上は罪に罪を重ねても貴様を助けにゃアおれの義理が立たない、さアお役人衆やくにんしゅ、お手数てかずながら此の文治に縄を打って
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
い「誠に申しにくいけれども、どうか御膳ごぜんだけ召上ってください、しおやならばお母様っかさまはお加減が悪くていらっしゃるから、おさかなけて置いて、あのお見舞に上げたいものだねえ」
照「あ、お父様とっさまやお母様っかさまはお達者かえ…今以て帰る事も出来ない身の上で」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
娘「兼や誠に面目次第も無い、お母様っかさまと私と一昨年からこんなわざをして」
何うして伊之いのさんは音信たよりをしてくれぬことか、それにつけてお母様っかさまもあんまりな、お雛様を送って下すったのは嬉しいが、私を斯ういう窮屈なうちへ預け、もう生涯の人に逢えぬことか、あゝなさけない
孝「お母様っかさま何故なにゆえ御自害なさいました、お母様ア/\/\」
娘「お母様っかさま兼が参りましたよ、一寸ちょっとお逢い遊ばせ」
文「なに、お母様っかさまが息を…」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)