ばら)” の例文
さだめしもう彼奴あいつを、ばらしてしまう寸法がついたんでしょうが、そのきッかけを見つけた手柄者てがらものの宅助は、まだいっこう目鼻がつきません。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、これから、手前たち三人が出かけて行って、そのいろは屋をばらすんだが、必ず首を持って来いよ。わかったら早いがいい。さっそく出かけろ
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「なるほどね。八五郎兄哥が下手人の相棒でないとすると、これは一応尤もだが、亥刻時分に、綾の野郎を誘いに来たときばらしたとしたら、どうだ」
りながら何の御禮に及びませうぞそれ其處そこ水溜みづたまり此處には石がころげ有りと飽迄あくまでお安に安心させ何處どこ連行つれゆきばらさんかと心の内に目算しつゝ麹町をもとくすぎて初夜のかね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ヘルマンはてつきり昨夜ばらされましたぜ」ウェステンブロオクは「早く出て來て木戸へ登れ」と云つた。云はれる儘にホルレルバッハは木戸を明けて相手を中へ入れた。
無法な火葬 (旧字旧仮名) / 小泉八雲(著)
このおれをばらそうとでも企らんでやがるのだな、この忌々しい豚め、この海坊主野郎め! ああん? ああん? おれたちはもうここに三週間もじっとしてたんじゃないか
「親方を知っているのは吉公たった一人だよ。その大切な奴をばらしちゃったんだから、お気の毒だが、もう分らねえよ。旦那方がいくら足掻あがいたって金輪際知れっこありゃしねえ」
鳩つかひ (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
ばらしたぞといったことは、むしろ父がまだ生きている実証のようにさえ思えて、冥府よみのような冷たい闇へ飛びこむと一緒に
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へっ、ばらされやしたよ、八州屋が。八州屋の旦那がね、親分、器用にられやしたよ。」
「職人の勝蔵さ、隣へ引越して来た踊りの師匠を張り合って、主人あるじの息子をばらしたんだ」
かたきねらうたんとて先生と同道どうだうなし元栗橋もとくりばしゆかんとの相談さうだん最中さいちうは全く其奴等そいつら三人を土手迄どてまで引出しばらして仕舞ふ計略けいりやくならんと悟りし故助太刀せんと先へまはり此處にて待伏したればこそ此始末このしまつかたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「急いだところでムダだろう、甲賀世阿弥はたった今おれがばらしてきたばかりだ。サ、次にはてめえの番」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「職人の勝藏さ、隣へ引越して來た踊の師匠を張合つて、主人あるじの息子をばらしたんだ」
東海道から江戸へ入るには、是非ともさしかかる山口やまぐち高輪たかなわの浦あたり——、その辺に、必殺の策を伏せておいて、ばらしてしまおうという二人が大体の目算もくさん
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ね、親分、誰かにばらされたに違いないでしょう」
「さて、どこでこいつをばらしたもんだろう。ただの囚人なら雑作ぞうさもねえが、なにしろ禁軍八十万の師範だ。いくら首枷くびかせがはめてあるからって、もしやり損なったらこっちの首がすぐくなる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ね、親分、誰かにばらされたに違ひないでせう」
「そこで私が頼んでおくのは、誰を斬りのがそうとも、あの投げ槍小六だけは、きっとばらして下さいよ。彼奴あいつに付きまとわれていたおかげに、五年もお前さんと会うことができなかったんだから……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こんな者にひまどって、もしとりでのやつらに感づかれた日にはこっちの出道でみちをふさがれてしまうだろう——はやくそのふたりをばらしてしまえ、もう生けどりにするなどといっていられる場合じゃない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「止めろというのに、くどい奴だ! サ、ばらしにかかるぞ」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よし! おれがばらしてやろう」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえ、ばらしてしまったんで」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)