此處彼處こゝかしこ)” の例文
新字:此処彼処
入りにし人の跡もやと、此處彼處こゝかしこ彷徨さまよへば、とある岸邊きしべの大なる松の幹をけづりて、夜目よめにもしるき數行の文字。月の光に立寄り見れば、南無三寶。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たゞ左右さいう斷崕だんがい其間そのあひだ迂回うねながるゝ溪水たにがはばかりである。辿たどつておくおくへとのぼるにれて、此處彼處こゝかしこ舊遊きういうよどみ小蔭こかげにはボズさんの菅笠すげがさえるやうである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此時このときはすでに澤山たくさん船員等せんゐんら此處彼處こゝかしこから船橋せんけうほとりしてあつまつてた。いづれもおどろいたやうな、いぶかるやうなかほで、いまやます/\接近せつきんきたあやしふね燈光とうくわうながめてる。
どろだらけなさゝがぴた/\とあらはれて、そこえなくなり、水草みづくさかくれるにしたがうて、ふね浮上うきあがると、堤防ていばう遠方をちかたにすく/\つてしろけむり此處彼處こゝかしこ富家ふか煙突えんとつひくくなつて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此處彼處こゝかしこ地圖ちづえれば、木釘きくぎには數多あまたかゝつてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)