“横向(よこむ)” の例文
五十人(ごじふにん)、八十人(はちじふにん)、百何人(ひやくなんにん)、ひとかたまりの若(わか)い衆(しゆ)の顏(かほ)は、目(め)が据(すわ)り、色(いろ)は血走(ちばし)り、脣(くちびる)は青(あを)く成(な)つて、前向(まへむ)き、横向(よこむ)き、うしろ向(むき)。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
まもなく、小指(こゆび)ぐらいの茶いろなかじかが、横向(よこむ)きになって流れて来たので、取(と)ろうとしたら、うしろのほうで三郎(さぶろう)が、まるで瓜(うり)をすするときのような声を出した。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
天(てん)は今(いま)やかの朝日島(あさひたう)に苦(くるし)める櫻木海軍大佐(さくらぎかいぐんたいさ)の誠忠(せいちう)をば遂(つひ)に見捨(みす)てなかつたかと、兩人(ふたり)は不測(そゞろ)に感涙(かんるい)の流(なが)るゝ樣(やう)に覺(おぼ)えて、私(わたくし)は垂頭(うつむ)き、武村兵曹(たけむらへいそう)は顏(かほ)を横向(よこむ)けると、此時(このとき)吾等(われら)の傍(かたはら)に
ふと明(あ)いた窓(まど)へ横向(よこむ)きに成(な)つて、ほつれ毛(げ)を白々(しろ/″\)とした指(ゆび)で掻(か)くと、あの花(はな)の香(か)が強(つよ)く薫(かを)つた、と思(おも)ふと緑(みどり)の黒髮(くろかみ)に、同(おな)じ白(しろ)い花(はな)の小枝(こえだ)を活(い)きたる蕚(うてな)、湧立(わきた)つ蕊(しべ)を搖(ゆる)がして、鬢(びんづら)に插(さ)して居(ゐ)たのである。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)