桑畑くわばたけ)” の例文
うさぎにたんぽぽをやっていると、用吉君ようきちくんが、いまおろすところだよ、といってたので、おくれちゃたいへんと、桑畑くわばたけなか近道ちかみちはしっていった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
大谷と云う家をたずねると、すぐに分った。里の入り口から五六丁行って、川原の方へ曲った桑畑くわばたけの中にある、ひときわ立派な屋根の家であった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「おれか、おれは裾野すその折角村おりかどむらだ、だがいまあの村には、桑畑くわばたけ蚕婆かいこばばあと、おれの親方だけしか住んでいないから人無村ひとなしむらというほうがほんとうだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあくる桑畑くわばたけへいくと、もうここの仕事しごとはおわって、みんなが、ひるすぎはかえるのだという。ぼくは勇気ゆうきして
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一は人家の檜林にうて北に折れ、林にそい、桑畑くわばたけにそい、二丁ばかり往って、雑木山のはしからまた東に折れ、北に折れて、六七丁往って終に甲州街道に出る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
大塚の隣屋敷に広い桑畑くわばたけがあって其横に板葺そぎぶきちいさな家がある、それに老人としより夫婦と其ころ十六七になる娘がすんで居ました。以前は立派な士族で、桑園くわばたけすなわち其屋敷跡だそうです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
母屋おもやの横手から土蔵の方へ通う野菜畑と桑畑くわばたけの間のみち、老祖母さんの隠居所となっていた離れの二階座敷、土蔵の前に植てある幾株かの柿の木、それらは皆なごく幼い頃に見たと変らずにあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いつも、ぼくはさびしいどもだった。ある桑畑くわばたけで、いくたりかのおんなくわをつんでいるのをた。なんでもそのはどこかの養蚕地ようさんちへおくられるというのだった。
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小さい太郎は、いちばんはじめに、いちばん近くの、桑畑くわばたけの中の金平きんぺいちゃんの家へゆきました。金平ちゃんの家には七面鳥を二かっていて、どうかすると、庭に出してあることがありました。
小さい太郎の悲しみ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
いずみいえまえは、桑畑くわばたけなんだぜ。だから、すこしばかりったって、かまわないのさ。」
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからのちも、ぼくは桑畑くわばたけへいったがまったくひとかげがなかった。きたほうへたれさがる水色みずいろそらをながめていると、どこからか、ほそい歌声うたごえがきこえるようながして、ただぼんやりたたずんだ。
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ここらに桑畑くわばたけがないんだ。」
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)