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杭
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ぐい
ふりがな文庫
“
杭
(
ぐい
)” の例文
すると、
恰
(
あたか
)
も焼け
杭
(
ぐい
)
に火のついたように、失恋の悲しみは、僕の体内で猛然として燃え出した。いわば、僕は失恋の絶頂に達したのである。
恋愛曲線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ここには
繋
(
もや
)
い
杭
(
ぐい
)
とホッ立て小屋がある。毛馬村の船着と見て、七名は、ばらばらとそこへ先廻りして
降口
(
おりぐち
)
を
扼
(
やく
)
して待っていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
百本
杭
(
ぐい
)
から
吾妻
(
あずま
)
橋の方角へ、大川端をぶらぶらと歩いてゆくと、向島の桜はまだ青葉にはなり切らないので、遅い花見らしい男や女の群れがときどきに通った。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今度のホルサムが内地の旅は、大体においてこの先着の英国人が測量標
杭
(
ぐい
)
を残したところであった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
舟は両国の中程の橋
桁
(
げた
)
に引っ掛けて居たが、本人は土左衛門になって、百本
杭
(
ぐい
)
で見付かった
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
お前の竿の先の見当の
真直
(
まっすぐ
)
のところを御覧。そら
彼処
(
あすこ
)
に古い「出し
杭
(
ぐい
)
」が
列
(
なら
)
んで、
乱杭
(
らんぐい
)
になっているだろう。その中の一本の杭の横に大きな
南京釘
(
ナンキンくぎ
)
が打ってあるのが見えるだろう。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お鶴も思いがけなかったか、ぴたりと草履を霜に留めて、透かして
差覗
(
さしのぞ
)
くようにした。尾花は自然の傍示
杭
(
ぐい
)
、アノ山越えて来イやんせ、この谷
辿
(
たど
)
って行かしゃんせ、と二筋道へ枯残る。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
園さんは
直
(
ただ
)
ちにこれを雲仙名所として、私達の入り込んだ口に標示
杭
(
ぐい
)
を立てるという話で、新焼の名は殺風景であるから何とか命名したい、あなたの名を取って
幽芳渓
(
ゆうほうけい
)
としてはという話も出たが
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
まず橋の手入れとして予備
杭
(
ぐい
)
などをやって大丈夫という所で、牛車を通したような訳で、手間の掛かること
夥多
(
おびただ
)
しく、そのため運賃は以前約束した四十円どころでなく、その六、七倍となりました。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
真夜中の江戸は、うそのようにヒッソリ
閑
(
かん
)
としています。折りから
満潮
(
みちしお
)
とみえまして、ザブーリ、ザブリ、橋
杭
(
ぐい
)
を洗う水音のみ、寒々とさえわたって、杭の根に、真白い水の花がくだけ散っている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『あれなら、まろも、つなぎ
杭
(
ぐい
)
の前で、しばし見とれたが、
馬観
(
うまみ
)
たちも、公卿どもも、口をそろえてやめよというた。
四白
(
よつじろ
)
とやらは、よくないそうじゃの』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もで、
強
(
た
)
ってとは申しませんが、それじゃ、これだけの事を申上げて下さい。こちらの旦那様と一緒に沖釣に行ったはずの、志賀内匠様の死骸が、百本
杭
(
ぐい
)
から揚がったと——」
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
茶店を
発
(
た
)
つて、
従是
(
これより
)
小川温泉道と書いた、傍示
杭
(
ぐい
)
に
沿
(
つ
)
いて参りまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう疲れ切っているところへ、人間ひとりに取付かれては、牛もずいぶん弱ったろうと思われるが、それでもどうにかこうにか向う河岸まで泳ぎ着いて、百本
杭
(
ぐい
)
の浅い所でぐたりと坐ってしまった。
牛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蜂須賀家の
船蔵
(
ふなぐら
)
が、すぐ目の前に横たわっているからだ。百本
杭
(
ぐい
)
の
柵
(
さく
)
が見え、掘割が見え水門が見える。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近所の船頭をかり集め、
松明
(
たいまつ
)
を振り照して川筋を捜しましたが、その晩はとうとう解らず、
翌
(
あく
)
る日の朝になって、船頭三吉と、野幇間七平の死骸は、百本
杭
(
ぐい
)
から浅ましい姿で引上げられました。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今年の夏はどういうものか両国の百本
杭
(
ぐい
)
には鯉の寄りがわるい。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
このへんでよかろう。なにせこんどのご処刑は首かずが多いのだから、
矢来
(
やらい
)
もひろく取らねばならんし、獄門台も渡してある図面どおり幾ツも要する。ここらを中心に、まず
囚人
(
めしゅうど
)
のツナギ
杭
(
ぐい
)
を
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その翌る朝、一寸法師の玉六の
溺
(
でき
)
死体は、百本
杭
(
ぐい
)
から揚がったのです。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼の
繋
(
つな
)
ぎ
杭
(
ぐい
)
を見て、自身立ち寄り
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“杭”の意味
《名詞》
(くい)地面に打ち込んで支柱・目印にする棒。
(くい、くいぜ)切り株。
(出典:Wiktionary)
“杭”の解説
杭(杙、くい、en: pile)は、建築物の固定や目印のために地中に打ち込む棒状のものである。古くは木製であったが、現代では条件によって金属製やプラスチック製のものを用いることもある。
杭を埋設することを杭打ち、その機械を杭打ち機という。
(出典:Wikipedia)
杭
漢検準1級
部首:⽊
8画
“杭”を含む語句
棒杭
橋杭
杭州
木杭
杭打
乱杭
百本杭
焼棒杭
立杭
標杭
杭瀬
剃杭
乱杭歯
焼木杭
浪除杭
余杭
亂杭
石杭
榜杭
地杭
...