あっ)” の例文
余り馬鹿々々しい、十八文ばかりあっても無くても同じことだと思うて売らなかったのが、その後四十何年無事で、今は筆洗ふであらいになって居るのも可笑おかしい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
年齢としには増せた事を言い出しては両親にたもとを絞らせた事はあっても、又何処どこともなく他愛たわいのない所も有て、なみに漂う浮艸うきぐさの、うかうかとして月日を重ねたが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
倒れた下は梯子段ゆえドシン/\と頭からせなから腰のあたりを強く叩きながら頭が先になって転げおちる、落た下に丁度丸い物があったから其上へヅシンと頭を突く
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
凉炉と膳との蔭に土鍋が置いてあって共に飯匕しゃもじが添えて有るのを見れば其処らに飯桶おはちの見えぬのも道理である。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
◎先年伊勢いせへ赴き、二週間ばかり滞在した事があった、ある夜友人に招かれて、贄崎にえさき寿楼ことぶきろうで一酌を催し、是非ぜひ泊れといったが、少し都合があって、同所を辞したのは午前一時頃である
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
自分の所為しょいに対しては、如何いかに面目なくっても、徳義上の責任を負うのが当然だとすれば、外に何等の利益がないとしても、御互の間にあった事だけは平岡君に話さなければならないでしょう。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「これまでわずらったことがあっても今度のように元気のないことはえが、矢張やっぱり長くないしるしであるらしい」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
夫やこれからうかして一日も早く楽に成りい財産を手に入れ度いと云う事情はあったに違い有ますまい倉
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
私の流儀にすれば金がなければ使わない、あっても無駄に使わない、多く使うも、少なく使うも、一切いっさい世間の人のお世話に相成あいならぬ、使いたくなければ使わぬ、使いたければ使う
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
殊に此犯罪は医者の見立で夜の二時から三時の間と分って居ますから戸締をしてあった事は重々たしかです
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「少し用事があって来たのよ、最早もうやすみ?」
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
年に似合ず白髪が有てく/\見ッとも無いからやむを得ず染たのです(荻)是は感服だ実に感服(大)サア是から後はじきに分りましょう支那人の中で独楽を弄ぶ位の子供があっ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)