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しょだな
ふりがな文庫
“
書棚
(
しょだな
)” の例文
なかには必要の本を
書棚
(
しょだな
)
からとりおろして、胸いっぱいにひろげて、立ちながら調べている人もある。三四郎はうらやましくなった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
といいながら、ふと気がついて、
書棚
(
しょだな
)
から
在外使臣名簿
(
ざいがいししんめいぼ
)
を取り出して、
頁
(
ページ
)
をくった。そのうちに、彼は、びっくりしたような声を出した。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分はその後まもなく、秋の夜の電灯の下で、
書棚
(
しょだな
)
のすみから樗牛全集をひっぱり出した。五冊そろえて買った本が、今はたった二冊しかない。
樗牛の事
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
曾
(
かつ
)
ては彼の胸の血潮を
湧
(
わ
)
き立たせるようにした幾多の愛読書が、さながら
欠
(
あく
)
びをする静物のように、一ぱいに
塵埃
(
ほこり
)
の溜った
書棚
(
しょだな
)
の中に並んでいた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
たまに灯をつけた書店があると、彼は立寄って
書棚
(
しょだな
)
を眺めた。彼ははじめて、この街を訪れた漂泊者のような気持で、ひとりゆっくりと歩いていた。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
▼ もっと見る
マグロアールは彼を好んで
大人
(
だいじん
)
様と呼んだ。ある日彼は椅子から立ち上がって、一冊の書物をさがしに図書室に行った。その書物は上方の
書棚
(
しょだな
)
にあった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
父の
書棚
(
しょだな
)
のあった部分の壁だけが四角に濃い色をしていた。そのすぐそばに西洋暦が昔のままにかけてあった。七月十六日から先ははがされずに残っていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
街路に向かった窓の内側にさびしい路次のようになって哲学や宗教や心理に関する
書棚
(
しょだな
)
が並んでいる。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
庭を
横截
(
よこぎ
)
って二人で上がって行くと、
書棚
(
しょだな
)
や
椅子
(
いす
)
や額や、雑書雑誌などの雑然と積み重ねられたなかで、子供の庸太郎が、喫茶台の上と下に積んであるレコオドのなかから
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
重態の病人が自身に来るはずはないから、紅葉の使いのものか、さなくば尾崎違いであろうと
訝
(
いぶ
)
かりながら店へ出て見ると、
痩
(
や
)
せ衰えた紅葉が
書棚
(
しょだな
)
の前で書籍を
漁
(
あさ
)
っていた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
貞之助が夫婦の寝室になっている二階の八畳へ机や手文庫や
書棚
(
しょだな
)
の一部などを運び、邪魔な物は
納屋
(
なや
)
や押入へ片附けてしまった跡へ、悦子が看護婦を連れて引き移って行き
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
手紙の草稿を片付ける気力も引き裂く気力もなくて、ただ機械的な習慣から、それを小さな
書棚
(
しょだな
)
のある書物にはさんだ。それから熱に震えながら床についた。
謎
(
なぞ
)
の言葉は解けた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
書棚
(
しょだな
)
に多く立ち並んでいる金文字、銀文字の書冊が、一つ一つにその作者や主人公の姿になって現われて来て、入れ代り、立ち代り、僕を責めたりあざけったり、
讃
(
ほ
)
めそやしたりする。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
貯金帳をいれてある
書棚
(
しょだな
)
の引き出しの
鍵
(
かぎ
)
を、かけるのを忘れていたら、あなたは、それを見つけて、困るね、と、しんから不機嫌に、私におこごとを言うので、私は、げっそり致しました。
きりぎりす
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
粟野さんはどちらかと言えば借金を
断
(
ことわ
)
られた人のように、十円札をポケットへ収めるが早いか、そこそこ
辞書
(
じしょ
)
や参考書の並んだ
書棚
(
しょだな
)
の向うへ退却した。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
書棚
(
しょだな
)
や机の
抽出
(
ひきだし
)
に手をかけてみたが、意地悪くも、どの棚も抽出も、
悉
(
ことごと
)
くキチンと錠が懸っていて、いくら彼が力を出したとて開けられそうにもなかった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
婆さんは依然として驚いた眼を皿のようにして一応
書棚
(
しょだな
)
を見廻しているが、いくら驚いてもはなはだたしかなもので、すぐに、「ウォーズウォース」を見つけ出す。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それほどでなくとも、少なくも丸善の経営者が
書棚
(
しょだな
)
の排列を変える時の参考には確かになるだろう。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と岸本は言って、部屋の
隅
(
すみ
)
に置いてある新しい三本立の本箱を愛子に
指
(
さ
)
して見せた。本箱とは言っても、三つを一緒に寄せて見たところは
書棚
(
しょだな
)
ぐらいの大きさがあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
三ガ日の間書斎の
掃除
(
そうじ
)
をしなかったので、今日の午後、夫が散歩に出かけた留守に掃除をしにはいったら、あの
水仙
(
すいせん
)
の
活
(
い
)
けてある
一輪揷
(
いちりんざ
)
しの載っている
書棚
(
しょだな
)
の前に鍵が落ちていた。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何でも書物は一生の中に一度役に立てばそれで沢山だ。そういう意味で学術的に貴いものなら何でも集めて置く、」と
書棚
(
しょだな
)
の中から気象学会や地震学会の報告書を出して見せた。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
オリヴィエが署名してる間に、彼は
書棚
(
しょだな
)
の書冊をのぞき込みながら表題を見て回った。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
粟野さんは彼の机の向うに、——と云っても二人の机を
隔
(
へだ
)
てた、
殺風景
(
さっぷうけい
)
な
書棚
(
しょだな
)
の向うに全然姿を隠している。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その本が柿丘の
書棚
(
しょだな
)
にあることを
兼
(
か
)
ねて眼をつけておいたものだから、今日は行って借りてこようと思い、
麻布本村町
(
あざぶほんむらちょう
)
にある
彼
(
か
)
の柿丘邸に足を向けたのだった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は既に例の二階の方の仮の書斎を引払って来て、義雄の起きたり
臥
(
ね
)
たりしていた奥の部屋に自分の机や
書棚
(
しょだな
)
を置いた。その部屋で谷中から
訪
(
たず
)
ねて来た兄を客として迎えて見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先生は立って向うの
書棚
(
しょだな
)
へ行って、しきりに何か
捜
(
さが
)
し出したが、また例の通り
焦
(
じ
)
れったそうな声でジェーン、ジェーン、おれのダウデンはどうしたと、婆さんが出て来ないうちから
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてこれに相当する日本語に対してはいっそうはげしいほとんど病的かと思われるほどの
嫌悪
(
けんお
)
を感じるようである。それで自分は丸善の
書棚
(
しょだな
)
でこの二つの文字を見るとよくP君を思い出すのである。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「もっと探せ。おや、その
書棚
(
しょだな
)
のうしろが、おかしいぞ。黄いろい煙が出ている。やっ、くさい!」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“書棚”の意味
《名詞》
書物を収納する棚。書架。本棚。
(出典:Wiktionary)
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
棚
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
“書”で始まる語句
書
書物
書肆
書籍
書翰
書付
書生
書割
書斎
書見