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暴戻
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ぼうれい
ふりがな文庫
“
暴戻
(
ぼうれい
)” の例文
熱狂的なおそるべく憤激した自我が、さびしい誇大妄想のうちに伸び上って、
暴戻
(
ぼうれい
)
な言葉をほとばしらせながら、世界を威嚇する。
予言者の家で
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
絶対民主平等のわが国では輿論は唯だに
万能
(
オムニポーテント
)
である許りでなく、
遍在
(
オムニプレゼント
)
でもある。輿論の
暴戻
(
ぼうれい
)
から逃るべき道もなく隠るべき場所もない。
少数と多数
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
いかなる権力の
濫用
(
らんよう
)
も、いかなる
暴戻
(
ぼうれい
)
も、極悪な暴君のいかなる非道も、ブジリスやチベリウスやヘンリー八世のいかなる行為も
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私はこの遺書の発見せられる時期が、彼清水が私に加えた
暴戻
(
ぼうれい
)
に対する復讐に必要にして十分なる程度に、長からずかつ短からざるを祈る
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
あたかも大洋上の暴風のように、狂いだつ
栄光
(
グロリア
)
が展開するのを、諸君は見たのだ。強力
暴戻
(
ぼうれい
)
なる意力の
竜巻
(
たつまき
)
が過ぎるのを、諸君は見たのだ。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
……そして、六波羅の
暴戻
(
ぼうれい
)
にたいする怒りも、彼らの土足にいまや皇居までが
冒
(
おか
)
されるに至ったかと思う痛涙も、それからのものであった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
謙譲、忠誠、真実は地上から飛び去り、虚偽、
暴戻
(
ぼうれい
)
、背信、そして飽くことを知らぬ黄金の欲望並びに最も粗野な罪悪の数々がとって代った。
宇宙の始まり
(新字新仮名)
/
スヴァンテ・アレニウス
(著)
店の
紅殻色
(
べんがらいろ
)
の壁に天狗の面が
暴戻
(
ぼうれい
)
な赤鼻を街上に突き出したところは、たしかに気の弱い文学少年を圧迫するものであった。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
、そして、人が
暴戻
(
ぼうれい
)
にたいしてたやすく起つものでないということを。——かれは、そこを根にして伸びあがるんだ。悪はそれ自身では、けっして成長しないものだ
蘭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その美しい王女殿下を、どうです、
MR
(
ミスタ
)
・タチバナ、
暴戻
(
ぼうれい
)
な英国の官吏は臆面もなく恥ずかしめようとしたのです。
獣
(
けだもの
)
とも何とも評しようのない無礼極まる奴らです。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と云いつつ突然ぐいと
猿臂
(
えんび
)
を伸ばしてルパンの
襟頸
(
えりくび
)
を掴んだ。何たる無礼の振舞だ!ルパンたるものいかにしてかくのごとき
暴戻
(
ぼうれい
)
に忍び得よう。いわんや婦人の面前である。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
あなたは私の葛岡さんに対する
暴戻
(
ぼうれい
)
を聞き、すっかり怒って、私に挑戦的になったようです。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
明治十七八年と云えば自由民権運動の盛んな時で、新思潮に
刺戟
(
しげき
)
せられた全国の青年は、
暴戻
(
ぼうれい
)
な政府の圧迫にも屈せず、民権の伸張に奔走していた。その時分のことであった。
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お聞きの通りじゃ、鬼王丸め、市之丞殿を殺すと
嚇
(
おど
)
して、芳江姫を屈伏させ己が色慾をとげようとするのじゃ。何んと残忍
暴戻
(
ぼうれい
)
の
人畜生
(
にんちくしょう
)
ではござらぬかな。悠々としてはいられない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その当時の
暴戻
(
ぼうれい
)
な制度や社会通念のために、人別を抜かれて非人の配下になったものが、世間からどんな屈辱的な待遇を受けていたか、恐らく今の人の想像も及ばないところでしょう。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
島の伝説に、昔泉津の代官
暴戻
(
ぼうれい
)
なりし故、村民これを殺し、利島に逃れしも上陸を許されず。神津島に上ったので、その代官の亡霊が襲い来るというのだが、どうも要領を得ぬとある。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
銃後にある忠勇なる国民諸君も、十分沈着元気に協力一致せられて、防護に警備に、はたまたその業につくされ、もって
暴戻
(
ぼうれい
)
なる外国S国軍の反撃に奮励していただきたい。昭和十×年七月二十五日。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
醜悪
(
しゆうお
)
、
獰猛
(
どうもう
)
、
暴戻
(
ぼうれい
)
のたえて異なるふしも無し。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
暴戻
(
ぼうれい
)
支那を徹底的に
膺懲
(
ようちょう
)
すべしと言うのだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
けれどもその試みは珍しいものであった。クリストフは、ワグナー派の芸術の強調的な
暴戻
(
ぼうれい
)
さにたいする、革命的反動のその精神に、喜んで賛成した。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
傲慢
(
ごうまん
)
と丁重と、憤激と
愚昧
(
ぐまい
)
とその混合、真実の苦情と虚偽の感情とのその
混淆
(
こんこう
)
、
暴戻
(
ぼうれい
)
の快感をむさぼる悪人らしいその破廉恥、醜い魂のその厚顔なる赤裸
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
天人
倶
(
とも
)
に許さざる
暴戻
(
ぼうれい
)
とは此事で御座るぞ——その兵部少輔殿の倖風情が、拙者の娘を申受け度いなどとは
以
(
もっ
)
ての外だ、とっとと帰らっしゃれ——何、そう言ったが不足だと仰しゃるか
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
木曽氏などとも兵を構えて甲斐武者の威を輝かせたが、永正十七年飯田河原で遠州の大兵を破って以来、すっかり天狗の鼻を高め、
暴戻
(
ぼうれい
)
の振る舞いが多くなりむやみと家来を手討ちにした。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この
許昌
(
きょしょう
)
の都に親しく留まって以来、眼にふれ耳に聞えるものは、ことごとく曹操の
暴戻
(
ぼうれい
)
なる武権の
誇示
(
こじ
)
でないものはありません。彼は決して、王道をまもる武臣の長者とはいえぬ者です。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
暴戻
(
ぼうれい
)
な
肘
(
ひじ
)
で
撃
(
うた
)
れる度に、何故かイベットの睫の煙る眼ざしを想出す。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その中の一羽がむやみに
暴戻
(
ぼうれい
)
で他の一羽を虐待する。
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼が意外にも憎悪の調子で述べたてる世の
喧騒
(
けんそう
)
(彼はほとんどクリストフと同じくらい喧騒をにくんでいた)から遠く離れ、
暴戻
(
ぼうれい
)
から遠ざかり、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
から遠ざかり
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それを推測せんがためには、まず最も穏やかなるものと最も
暴戻
(
ぼうれい
)
なるものとの対立を想像してみるがよい。彼の顔の上にさえ、確かに認め得らるるものは何もなかったであろう。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこのところを察して僕の無理も僕の
暴戻
(
ぼうれい
)
も許して、僕を救って貰い度い
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
暴戻
(
ぼうれい
)
な破壊者」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしそういう人はフランスにたくさんいた。そして多くの人は、ライン彼岸の新聞紙の反フランス的
暴戻
(
ぼうれい
)
さが、日に日に盛んとなるのを見て、
呆然
(
ぼうぜん
)
たるばかりだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私はそれと戦った。種々の
暴戻
(
ぼうれい
)
があった。私はそれを破壊した。種々の正義と主義とがあった。私はそれを布告し宣言した。領土は侵された。私はそれを防御した。フランスは脅かされた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
けれどもそういうものの起ったとき、無暗にこれ等の
豊饒
(
ほうじょう
)
な果ものにかぶりつくのです。
暴戻
(
ぼうれい
)
にかぶりつくのです。すると、いつの間にか慰められています。だから手元に果物は絶やさないのです
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そういう
暴戻
(
ぼうれい
)
な警告が、ドイツの期待する結果と反対の結果を生じたのは、当然のことである。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
勝利ある正義は、少しも
暴戻
(
ぼうれい
)
たることを要しない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかし彼の
傲慢
(
ごうまん
)
心はそれを拒んだ。こういう奴どもから逃げ出すふりをしたくなかった。——陰険
暴戻
(
ぼうれい
)
な眼つきは彼にすえられた。彼は堅くなって、憤然とにらみ返した。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人類にたいする愛、諸国民や諸民族の親和にたいする
敬虔
(
けいけん
)
な
翹望
(
ぎょうぼう
)
——それをこれらの青年らは何たる盲目な
暴戻
(
ぼうれい
)
さをもって
冒涜
(
ぼうとく
)
してることだろう! われわれが征服したあの怪物を愛惜し
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
暴戻
(
ぼうれい
)
な征服者の
掌中
(
しょうちゅう
)
にあることを、われわれは知っていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“暴戻”の意味
《名詞》
荒々しく乱暴なこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
暴
常用漢字
小5
部首:⽇
15画
戻
常用漢字
中学
部首:⼾
7画
“暴戻”で始まる語句
暴戻恣睢