“断(ことは)” の例文
旧字:斷
「怪しからんぢやないか、断(ことは)りもなしに他人の小屋に這入り込んで吾もの顔で威張り散らすとは何たる事だ。さつさつと出て行つて呉れ。」
船の中の鼠 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
第(だい)一、病中(びやうちう)は、其(そ)の取乱(とりみだ)した姿(すがた)を見(み)せるのを可厭(いや)がつて、見舞(みまひ)に行(ゆ)くのを断(ことは)られた自分(じぶん)ではないか。——此(これ)は悪(わる)い。こんな処(ところ)を。あゝ、済(す)まない。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
しかし、断(ことは)つとくが、君はどんな場合でも、平静を装つてゐなけれやいけないよ。無論駈けつけて来るには及ばない。
音の世界 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
モデルの誰たるかを模索することの無意味なる事を、特に読者にお断(ことは)りしたい。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
けれども昔(むかし)から懇意(こんい)な者(もの)は断(ことは)らず留(とめ)て、老人夫婦(としよりふうふ)が内端(うちは)に世話(せわ)をして呉(く)れる、宜(よろ)しくば其(それ)へ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
山家(やまが)の者(もの)には肖合(にあ)はぬ、都(みやこ)にも希(まれ)な器量(きりやう)はいふに及(およ)ばぬが弱々(よわ/\)しさうな風采(ふう)ぢや、背(せなか)を流(なが)す内(うち)にもはツ/\と内証(ないしよう)で呼吸(いき)がはづむから、最(も)う断(ことは)らう/\と思(おも)ひながら、例(れい)の恍惚(うつとり)で
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
(御坊様(おばうさま)、それでござんすが一寸(ちよつと)お断(ことは)り申(まを)して置(お)かねばなりません。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)