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押流
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おしなが
屋根を
葺いても、
板を
打つても、
一雨強くかゝつて、
水嵩が
増すと、
一堪りもなく
押流すさうで、いつも
然うしたあからさまな
體だと
云ふ。——
それは明るいしずかな画趣である。
河底の砂にうもれた「
木はし」をあさるのだそうな。「木はし」は流木の
髄であると聞いた。洪水に
押流されてきた樹木の磨き尽くし洗い尽くされた
末の髄である。
何處へ
押流されたか
影も
形もなく、
秘密造船所も
一時は
全く
海水に
浸されたと
見えて、
水面から
餘程高い
屏風岩の
尖頭にも、
醜き
海草の
殘されて、
其海草から
滴り
落つる
水玉に
まご/\して
居れば
再び
何處へ
押流されてしまうかも
分らぬ。