技師ぎし)” の例文
警視庁けいしちょう技師ぎしが、ふいに牛舎ぎゅうしゃ検分けんぶんにきた。いきなり牛舎のまえに車にのりこんできて、すこぶる権柄けんぺいに主人はいるかとどなった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
技師ぎしは、わたしがのぞむなら、事務所じむしょで仕事を見つけてやると言った。ガスパールおじさんも鉱山こうざんでしじゅうの仕事をこしらえようと言った。
換言かんげんすれば、蠅はわれわれの五体をワクチン製造所せいぞうしょとして奉職ほうしょくする技師ぎし技手ぎしゅ亜類あるいであるかもしれないのである。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
だい二の容疑者ようぎしゃは、金属きんぞくメッキ工場こうじょう技師ぎしけん重役じゅうやくであり、中内忠なかうちただしという工学士こうがくしだつたが、この人物じんぶつは、刈谷老人かりやろうじん高利こうりかねりていて、かなりくるしめられていたはずである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
先年名佐なさ技師ぎし地質調査ちしつてうさの為め探検たんけんして之よりかへられし処とす、衆露宿ろしゆくを此にる、人夫十数人拮据勉励きつきよべんれい、大石をのぞきて磧中をり温泉塲二ヶしよつくる、泉石幾年のこけ汚穢をくわい甚しきを以て
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ちょうど、そのころ、たび技師ぎしが、このむらとおって
糟谷かすやは明治十五年ごろから、足け十二年のあいだ、下総種畜場しもうさしゅちくじょう技師ぎしであった。そのころ種畜場は農商務省のうしょうむしょう所管しょかんであった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
技師ぎし災難さいなんをともにはしなかったが、自分がほねってあやういところをすくい出した子どもということで、わたしに親しんだ。かれはわたしをそのうちへ招待しょうたいした。
「あの技師ぎしさんに張込はりこみをつけておけ!」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
兼吉かねきち五郎ごろうあらいものをしている。花前はなまえれい毅然きぜんたる態度たいど技師ぎし先生のまえにでた。技師はむろん主人と見たので、いささかていねいに用むきをだんずる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
とつぜん坑道こうどうの水の中に音がした。頭をふり向けて、わたしは大きな光がこちらにさすのを見た。技師ぎしはおおぜいの人の先に立っていた。かれはいちばん先に上がって来た。