打倒ぶつたふ)” の例文
月に一度くらゐは打倒ぶつたふれて、口から泡を吹いて苦悶するのであつた。しかし、力は人並傑れてゐて、荒働きによく堪へた。
吉日 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
すると一心いつしんとほりましてか、満願まんぐわんの日に梅喜ばいきは疲れ果てゝ賽銭箱さいせんばこそば打倒ぶつたふれてしまふうちに、カア/\と黎明しのゝめつぐからす諸共もろとも白々しら/\が明けはなれますと
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
神田かんだ猿樂町さるがくちやうで、ほろのまゝ打倒ぶつたふれた、ヌツと這出はひでことたが、つけの賓丹はうたんふつもりで藥屋くすりや間違まちがへて汁粉屋しるこやはひつた、大分だいぶばうとしたにちがひない、が怪我けがなし。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分じぶん學校がくかうもんはした。そしてうちにはかへらず、田甫たんぼた。めやうとおもふてもなみだまらない。口惜くやしいやらなさけないやら、前後夢中ぜんごむちゆうかはきしまではしつて、川原かはらくさうち打倒ぶつたふれてしまつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これ当今たうこんでは出来できませぬが、昔時むかし行倒ゆきだふれ商売しやうばいにしてた者があります。無闇むやみうちまへ打倒ぶつたふれるから
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何方どつちへ行つても、見覺えた道へは出られなくつて、まご/\してゐるうちに、足は疲れて眠くもなつて、木の根につまづいて打倒ぶつたふれたまゝ、前後も知らず眠つてしまつた。
(旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
んだらそれまでだ。』と自棄やけつて寐床ねどこかへつて打倒ぶつたふれた。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)