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しよけんめい
「おい
銃だよ、
誰か
銃を
取つてくれよ‥‥」と、
中根は一
所懸命に
右手で
銃を
頭の
上に
差し
上げながら
呶鳴つた。そして、
右手でバチヤバチヤ
水を
叩いた。
勘次は
主人の
爲に一
所懸命働いた。
其の
以前からも
彼は
只隣の
主人から
見棄てられないやうと
心には
思つて
居るのであつた。
然し
非常な
勞働は
傭人の
仲間には
忌まれた。
そして、——
寢てはならん‥‥と、一
所懸命に
考へてはゐながら、
何時の
間にかトロリと
瞼が
落ちて、
首がガクリとなる。
足がくたくたと
折れ
曲るやうな
氣がする。
此の
季節を
空しく
費すことが一
日でも
非常な
損失であるといふ
見易い
利害の
打算から
彼は
到頭打ち
負されて
復一
所懸命に
勞働に
從事した。
彼はもう
卯平と
一言も
口を
利かなくなつた。