恰好がつかう)” の例文
亭主ていしゆは五十恰好がつかういろくろほゝこけをとこで、鼈甲べつかふふちつた馬鹿ばかおほきな眼鏡めがねけて、新聞しんぶんみながら、いぼだらけの唐金からかね火鉢ひばちかざしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小生と同じ宿に十二三歳の少女有之これあり腎臓病じんざうびやうとか申すことにて、らふのやうな顔色かほいろを致し居り候。付きひ居り候は母親にや、但し余り似ても居らぬ五十恰好がつかうの婦人に御座候。
伊東から (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども其夜そのよめづらしく、坂井さかゐ主人しゆじんは四十恰好がつかうひげのないひとであるとことやら、ピヤノをくのは惣領そうりやうむすめで十二三になるとことやら、またほかうち小供こどもあそびにても
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この姉妹しまい二人ふたりともスケツチ・ブツクを持つて写生に行く。雨降りの日は互に相手の顔を写生するなり。父親はひんのある五十恰好がつかうの人。この人もたしなみありげに見ゆ。(八月二十二日青根温泉にて)
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まへ御婆おばあさんがやつぐらゐになる孫娘まごむすめみゝところくちけてなにつてゐるのを、そばてゐた三十恰好がつかう商家しやうか御神おかみさんらしいのが、可愛かあいらしがつて、としいたりたづねたりするところながめてゐると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)