)” の例文
ですが、閻魔樣あちらさままへでは、けたものですから。——じつ此寺こゝ墓地ぼちに、洲崎すさき女郎やつまつてるんです。へ、へ、へ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
又八は、この男の話を、全部がほんととは信じなかったが、それでも、何か圧倒されたようなを感じ、自分も、法螺ほらをふき返してやろうと思った。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町をくにも、気のけるまで、郷里にうらぶれた渠が身に、——誰も知るまい、——ただ一人、秘密の境を探り得たのは、ひそかおおいなる誇りであった。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、わざと声のかんを張って、け身を見せまいとしましたものの、思わず寒気に襲われて、ぞッとえりすじをすくめた証拠には、お蝶の銀のかんざしが微かに光を砕いています。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
特に我慢のならぬのは、呼吸苦いきぐるしいので、はあはあ耳に響いて、気のけるほど心臓の鼓動がはげしくなった。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「その宋江大人はもうこの地を嫌って、清風山へ去ってしまった。あれだってすべてりゅう夫人の毒のある舌と劉高りゅうこうの小心からおこったことだ。こっちでを持ついわれはない」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ清書と詠草の綴じたのが入っているばかりの仕誼しぎ、わけを知ってるだけに、ひがみもあれば気がけるのに、目の前に異彩を放つ山河内の姫が馬車に積んで来た一件物
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さしていないと、妙に自分だけが、寝間着すがたでもいるように、気がけましていけません。……ひとつ、老公さまからお声をもって、帯刀おゆるしの儀をなんとか、仰ぎたいもので
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何だって一旦いったんけがした身体からだですから、そりゃおっしゃらないでも、私の方で気がけます。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんだつて一旦いつたんけがした身體からだですから、そりやおつしやらないでも、わたしはうけます。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
川の水を飲むのさえ気がけたほど生命いのちが大事で、なぜまたとわっしゃるか。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かはみづむのさへけたほど生命いのち大事だいじで、何故なぜまたはつしやるか。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この土地の新聞一種ひといろ、買っては読めない境遇だったし、新聞社の掲示板の前へ立つにも、土地は狭い、人目に立つ、死出三途さんずともいう処を、一所に徜徉さまよった身体からだだけに、自分から気がけて
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何をどうして、お座敷へ置いて頂けようと思いますと、気がけて気が怯けて、口も満足利けませんから、何が気に入らないで、失礼な顔をすると、お思い遊ばすのも無理はない、なあ。……
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)