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後楯
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うしろだて
ふりがな文庫
“
後楯
(
うしろだて
)” の例文
けれども月日は私の元氣に
後楯
(
うしろだて
)
をした。診察室の前の大鏡に映る、ひつつめ
銀杏
(
いちやう
)
の青白い顏は、日に日に幾らかづつ色を直して行つた。
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
上野介の
倨傲
(
きょごう
)
な日ごろの振舞も吉保という重要な地位にある人間の
後楯
(
うしろだて
)
を意識して、特に、横着ぶりを、押している風もかなり見える。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鰐淵
(
わにぶち
)
の名が同業間に聞えて、威権をさをさ四天王の随一たるべき勢あるは、この資本主の
後楯
(
うしろだて
)
ありて、運転神助の如きに由るのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「なんの、お前をいじめるものか、
贔屓
(
ひいき
)
にしようというのじゃ、な、これから新撰組の隊長が、お前の
後楯
(
うしろだて
)
になろうというのではないか」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あの野郎は馬鹿みたいな顏をして居りますが、あれで、なか/\好いとこが御座います。萬事は私が
後楯
(
うしろだて
)
になつて、糸を引いてやります」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
安達さんも顔が潰れますけれど、私達だって
元来
(
もともと
)
私達が
後楯
(
うしろだて
)
になって始めたことですから、こゝで負けたんじゃ好い恥を
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いったい、どうしてくれっていうんだい? まだ君は生きているし、まだわしの
後楯
(
うしろだて
)
っていうものがあるんだ。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
地方に勢力のあった御社や仏寺を
後楯
(
うしろだて
)
として、その信仰の宣伝によって生計を立てた者などは、起こりが古いからまだ家柄のように見られぬこともないが
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「だが、相手には何しろ上杉家という
後楯
(
うしろだて
)
がある」と、小平太は今さらのように考えずにはいられなかった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
これ、
後楯
(
うしろだて
)
がついていると思って、大分強いなと
煙管
(
きせる
)
にちょっと背中を突きて、ははははと独り悦に入る。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「そうか」と、栗田は、案外、簡単に信用して、「そんなら訊くが、「チーハー」の胴親の島崎勇次を、玉井金五郎が、
後楯
(
うしろだて
)
しちょるという話じゃが、ほんとうか?」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
しかして感謝すべきは余は黙止し
居
(
お
)
るを得べければなり、もちろん普通の情として忍ぶべきにあらざるなり、余は余の国人を
後楯
(
うしろだて
)
となし
力
(
つと
)
めて友を外国人に求めざりき
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
たとえ百成が俺を見限ろうとも、自分が
後楯
(
うしろだて
)
になって面倒を見てやると
姐御
(
あねご
)
のような口をきいた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
相反する勢力を
後楯
(
うしろだて
)
にして兄系と弟が争い、弟が勝ったが、勝てる弟側が兄の娘を二代にわたって皇后にしたのは、背後の相反する勢力を統一するに役立ったようである。
安吾史譚:02 道鏡童子
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そうなりますには
後楯
(
うしろだて
)
と云うものがなければなりません、
商人
(
あきんど
)
が大きくなるには、
資本
(
もとで
)
を貸してくれる
金主
(
きんしゅ
)
と云う者がなければ
大商人
(
おおあきんど
)
にはなれませんものでございますが
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
伊勢屋は旧い店で、
身上
(
しんしょう
)
もなかなかいいそうですから、その
後楯
(
うしろだて
)
が付いていりゃあ万力も困ることは無いでしょうが、抱え屋敷をしくじっちゃあ仲間に対して幅が利かねえ。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お銀はBさんという
後楯
(
うしろだて
)
のついている笹村と、うっかりした相談も出来ないと思った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「私は、生きてゆくためには、わが国の他の人々が、たとい名門の
後楯
(
うしろだて
)
があろうと、いつかはしなければならないかもしれぬことをするより
他
(
ほか
)
はありません、——つまり、働くことです。」
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
後白河院の
後楯
(
うしろだて
)
があるものの、どうも形勢不利とみて、この上は、天の助けにすがるよりほかはないと思い立った成親は、
男山
(
おとこやま
)
の
石清水八幡宮
(
いわしみずはちまんぐう
)
に、百人の坊主を頼んで、七日間、
大般若経
(
だいはんにゃきょう
)
を
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「いけねえいけねえ! 殿様、ありゃたしかに今やかましい道場荒しの
赤谷
(
あかたに
)
伝九郎ですぜ。あの野郎が
後楯
(
うしろだて
)
になっていたとすりゃ、いかな若衆でも
敵
(
かな
)
うめえから、早くなんとか救い出してやっておくんなせいな」
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
窺はば鎌倉の治世
覺束
(
おぼつか
)
なかるべし
抔
(
など
)
語合ふ
思
(
おもへ
)
ば
治承
(
ぢしよう
)
の昔し頼朝には北條時政といふ
大山師
(
おほやまし
)
が付き義經には奧州の
秀衡
(
ひでひら
)
といふ
大旦那
(
だいだんな
)
あり義仲には
中三權頭兼遠
(
ちうさんごんのかみかねとほ
)
といふわづかの
後楯
(
うしろだて
)
のみなりしに心逞ましき者なればこそ京都へ度々忍び
上
(
のぼ
)
つて平家の動靜を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
われわれの働くときに、われわれの
後楯
(
うしろだて
)
になりまして、われわれの心を十分にわかった人がわれわれを
見継
(
みつ
)
いでくれるということは、われわれの目下の必要でございます。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
こういう先生を
後楯
(
うしろだて
)
に控えて行けば、ドコへ行こうと鬼に金棒だという観念がお角さんにはあるので、つまり、インテリ用心棒としての道庵先生を手放したくないのです。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お金といふ
後楯
(
うしろだて
)
があつて紳士道も成立つのだから、天妙教と手を切る、そのために店がにはかに衰微しちやいけないから、それとなくヨッちやんの意中をたしかめてみると
金銭無情
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
三月事件に失敗したときからこれは企てられていたことで、関東軍が中央の
後楯
(
うしろだて
)
を頼んで事をおこしたと言いかえてもいいが、彼らはひとしく軍独裁政権の樹立をねらっていたのだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
妹のお大を
臺所働
(
だいどころばたらき
)
やら、子供の
守
(
もり
)
やら、
時偶
(
ときたま
)
代稽古などにも使つて、
頤
(
あご
)
で追𢌞してゐたものが、今では妹の方が強くなり、町内の二三の若者が同情して、
後楯
(
うしろだて
)
になつてくれたのを幸ひ
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
楯
漢検準1級
部首:⽊
13画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世