強慾がうよく)” の例文
拜借はいしやく仕つり度是迄推參すいさん候といふに強慾がうよく無道ぶだうの天忠和尚滿面まんめんゑみふくみ夫は重疊ちようでふの事なりさてわけは如何にと尋ぬるに大膳はひざすゝめ聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ニヤリニヤリと岡つ引を迎へると言つた肌合の女——けちで無慈悲で、強慾がうよくだつた寅五郎と、生れ變つて來ても氣性の合ひさうもない柄です。
併しお房は、父が無類むるゐ強慾がうよくにも似ぬ華美奴はでごのみであツたおかげに、平常ふだんにも友禪いうせんづくめで育ツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
美濃守殿みののかみどののことから、其方そち潔白けつぱくいて、ひどく感心かんしんしたのだつたな。まつた其方そち卑劣ひれつな、強慾がうよくな、恥知はぢしらずの人間にんげんばかりおほ土地とちで、めづらしい潔白けつぱく高尚かうしやう人間にんげんだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かねはらなかれちまつてモウたれにも取られる気遣きづかひがないから安心して死んだのだがうも強慾がうよくやつもあつたもんだな、これ所謂いはゆる有財餓鬼うざいがきてえんだらう、なにしろ此儘このまゝはうむつてしまふのはをしいや
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は益々強慾がうよくになり貸金の回収手段の非道ひどさは随分泣かされてゐる人間も多く、家作も次々に建てたが、最近手を出した製氷所が失敗して、癲癇てんかんになつたのも積悪の報だらう、と云ふ噂を聞いた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
こそ御えらみあるが然るべしと道理をつくして諫言かんげんに及びければ流石さすが強慾がうよくの五兵衞も初めて道理もつともと思ひ終に持參金のねんたちたる樣子なれば久八は此
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
父といふ人は、強慾がうよくで、そして我執がしふの念の強い、飽迄あくまでも物質よくさかんな人物であツたらしい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ば包てとこの下へ入しかさは百兩ほどなり強慾がうよくの大膳は此體このていを見るより粟々ぞく/\と喜びながらも女の身としてかゝる大金を所持し一人旅行りよかうするは心得がたしとまづ宿やどの下女をまねひそかに樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)