わか)” の例文
人知らぬ思ひに心をやぶりて、あはれ一山風ひとやまかぜに跡もなき東岱とうたい前後ぜんごの烟と立ち昇るうらわか眉目好みめよ處女子むすめは、年毎としごとに幾何ありとするや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
おそかなおのれより三歳みつわか山田やまだすで竪琴草子たてごとざうしなる一篇いつぺんつゞつて、とうからあたへつ者であつたのは奈何どうです、さうふ物を書いたから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
劉禪は年もわかし、質も凡庸であつたから、劉備の遺命を受け、後事を託された、孔明の苦勞は並々でない。
翁いふ。吾主わぬし遠くゆき給ひて後は、夏のころより干戈かんくわふるひ出でて、里人は所々にのがれ、わかき者どもは軍民いくさびとに召さるるほどに、一四一桑田さうでんにはかに狐兎ことくさむらとなる。
しかも年わかく、月の光を受けてかほの色凄きまで蒼白くうるはしきが一歩二歩歩み出たり。
野路の菊 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
その身こそ瓜も欲りせん としわかき母にしあれば
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「秋峰瀟洒質。子肇豪宕才。文郁齢猶弱。清詩絶点埃。子寿交最旧。辛勤十載偕。姓字馳海内。吟壇推雄魁。」〔秋峰瀟洒ノ質/子肇豪宕ノ才/文郁齢猶わかシトイヘドモ/清詩点埃ヲ絶ツ/子寿交リ最モふるク/辛勤十載ヲともニス/姓字海内ニ馳セ/吟壇雄魁ニ推ス〕と言っている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
またしてもうたてき事のみ、恥かしと思ひ給うての事か。年わかき内は誰しも同じながら、斯くては戀はてざるものぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
こよひ五三不思議にもここに一夜をかりたてまつる事、五四一世ならぬ善縁ぜんえんなり。なんぢわかきとてゆめ信心しんじんおこたるべからずと、五五ささやかにかたるもみて心ぼそし。
左の方よりは足助あすけの二郎重景とて、小松殿恩顧のさむらひなるが、維盛卿よりわかきこと二歳にて、今年まさ二十はたち壯年わかもの、上下同じ素絹そけんの水干の下に燃ゆるが如き緋の下袍したぎを見せ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
日もくれ、足も痛みて、いかがして二三あまたのみちをくだらん。二四わかき身は草に臥すともいとひなし。只二五み給はん事の悲しさよ。夢然云ふ。旅はかかるをこそ哀れともいふなれ。