弥生やよひ)” の例文
旧字:彌生
弥生やよひヶ岡の一週、駿河台するがだいの三週、牛門の六閲月、我が一身の怱忙そうばうを極めたる如く、この古帽もまた旦暮たんぼ街塵に馳駆ちくして、我病める日の外には殆んど一日も休らふ事あたはざりき。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おもて八句を庵の柱に懸置き、弥生やよひも末の七日、明ぼのゝ空朧々おぼろおぼろとして、月は有明にて光をさまれるものから、不二ふじの峰かすかに見えて、上野谷中やなかの花のこずえまたいつかはと心細し。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
弥生やよひころは雪もやゝまれなれば、春色しゆんしよくそらを見て家毎いへごとに雪かこひ取除とりのくるころなれば
桜花はなあかりさす弥生やよひこそわが部屋にそこはかとなくよどむ憂鬱
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
……弥生やよひも末の七日なぬか明ほのゝ空朧々ろうろうとして月は在明ありあけにて光を
秋日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
弥生やよひはじめのつばくらめそですり光る
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
桃の花咲ける弥生やよひに雪降りて
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
露西亜ロシアバレエの弥生やよひかな。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
弥生やよひついたち、はつつばめ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
あし田鶴たづよはひながゝれとにや千代ちよとなづけし親心おやごゝろにぞゆらんものよ栴檀せんだん二葉ふたば三ツ四ツより行末ゆくすゑさぞとひとのほめものにせし姿すがたはなあめさそふ弥生やよひやまほころびめしつぼみにながめそはりてさかりはいつとまつのごしのつきいざよふといふも可愛かあいらしき十六さい高島田たかしまだにかくるやさしきなまこしぼりくれなゐは
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
弥生やよひころは雪もやゝまれなれば、春色しゆんしよくそらを見て家毎いへごとに雪かこひ取除とりのくるころなれば
せめて弥生やよひ名残なごりを求めて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
弥生やよひの末のゆふまぐれ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ルイ十四世じふしせい弥生やよひかな。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)