小桶こをけ)” の例文
ぐら/\沸いてゐる薬罐やくわんの湯を小桶こをけに分けて職工達の食事をする場所々々に持つて行つたりするだけのことであつた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
積る朽葉くちばにつもる雪、かきのけ/\さがせども、(中略)ああ天我をほろぼすかとなみだと雪にそでをぬらし、是非ぜひなく/\も帰る道筋、なはからげの小桶こをけひとつ、何ならんと取上げ見れば
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
燐寸まつちつて蝋燭らふそくともして、それを臺所だいどころにあつた小桶こをけなかてゝ、ちやたが、つぎ部屋へやには細君さいくん子供こどもてゐるので、廊下傳らうかづたひに主人しゆじん書齋しよさいて、其所そこ仕事しごとをしてゐると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『先生、一つ流しませう。』と丑松は小桶こをけかゝへて蓮太郎の背後うしろへ廻る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小桶こをけみづ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ながもと小桶こをけなか茶碗ちやわん塗椀ぬりわんあらはないまゝけてあつた。下女部屋げぢよべやのぞくと、きよ自分じぶんまへちひさなぜんひかえたなり、御櫃おはちりかゝつて突伏つつぷしてゐた。宗助そうすけまたでふいてくびんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)