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寂寥
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せきれう
ふりがな文庫
“
寂寥
(
せきれう
)” の例文
次第に幼い頃の空気がかれの心の周囲に集り
且
(
か
)
つ
醸
(
かも
)
されて来るのを覚えた。最早始めに来た時に感じたやうな「孤独」と「
寂寥
(
せきれう
)
」とをかれは感じなかつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
停車場
(
ていしやぢやう
)
、ホテル、
舞踏場
(
ぶたうぢやう
)
、如何なる所にてもよし、かの燦爛たる燈火の光明世界を見ざる時は
寂寥
(
せきれう
)
に堪へず、悲哀に堪へず、
恰
(
あたか
)
も
生存
(
せいぞん
)
より隔離されたるが如き絶望を感じ
申候
(
まをしそろ
)
。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
陰鬱
(
いんうつ
)
!
屈托
(
くつたく
)
!
寂寥
(
せきれう
)
! そして
僕
(
ぼく
)
の
眼
(
め
)
には
何處
(
どこ
)
かに
悲慘
(
ひさん
)
の
影
(
かげ
)
さへも
見
(
み
)
えるのである。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
我が恋ふ人の
魂
(
たま
)
をこゝに呼び出すべき
香
(
かをり
)
にてもなければ、要もなし、気まぐれものゝ
蝙蝠
(
かうもり
)
風勢
(
ふぜい
)
が我が
寂寥
(
せきれう
)
の調を破らんとてもぐり入ることもあれど、捉へんには竿なし、
好
(
よ
)
し捉ふるとも
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
村落
(
むら
)
の
者
(
もの
)
が
去
(
さ
)
つた
後
(
あと
)
には
小
(
ちひ
)
さな
青竹
(
あをだけ
)
の
線香立
(
せんかうたて
)
からそこらの
石碑
(
せきひ
)
の
前
(
まへ
)
からぢり/\と
身
(
み
)
を
燒
(
や
)
いて
行
(
ゆ
)
く
火
(
ひ
)
に
苦
(
くるし
)
んで
悶
(
もだ
)
えるやうに
煙
(
けぶり
)
はうねりながら
立
(
た
)
ち
騰
(
のぼ
)
つて
寂寥
(
せきれう
)
たる
黄昏
(
たそがれ
)
の
光
(
ひかり
)
の
中
(
なか
)
に
彷徨
(
さまよ
)
うた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
故に唯物論者の経験すべき苦痛、
寂寥
(
せきれう
)
、失望を味はざる也。彼等が憲法を説くや亦唯憲法として之を説くのみ、未だ嘗て憲法国の民として之を論ぜざる也、故に其言人の同感を引くに足らざるなり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
銀のごと時にひろごる網の目はこれ
寂寥
(
せきれう
)
の
眼
(
まなこ
)
なりけり
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
物
(
もの
)
鬱として、
寂寥
(
せきれう
)
のきはみを盡すをりしもあれ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
寂寥
(
せきれう
)
の中で見開く眼がある
眼
(新字旧仮名)
/
片山敏彦
(著)
寂寥
(
せきれう
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
寂寥
(
せきれう
)
の思ひをなし、辛い悲しい思ひをするものは、(曾ては私もその一人であつた)矢張また我に着し、我に染まつてゐるところがあるからであつて、まだ本当に
孤独と法身
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
夕日の國は野も山も、その「
平安
(
へいあん
)
」や「
寂寥
(
せきれう
)
」の
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
日は
真昼
(
まひる
)
——野づかさの、
寂寥
(
せきれう
)
の
心
(
しん
)
の
臓
(
ざう
)
にか
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
餓
(
う
)
やされたる心の
寂寥
(
せきれう
)
から起つて来る
憧憬
(
しようけい
)
、これは実は一つであるのではないか。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
落日
(
らくじつ
)
喘
(
あへ
)
ぐ
寂寥
(
せきれう
)
に鐘鳴りわたり
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
高樫
(
たかがし
)
の
寂寥
(
せきれう
)
の森の小路よ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
“寂寥”の意味
《名詞》
寂寥(せきりょう)
もの寂しいこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
寂
常用漢字
中学
部首:⼧
11画
寥
漢検1級
部首:⼧
14画
“寂寥”で始まる語句
寂寥感