大声たいせい)” の例文
旧字:大聲
大声たいせいを放つたり何かしました。併しそれに何も不思議はないぢやありませんか。不思議はそこではなくて、別にあります。
現に拙者が貴所あなたの希望に就き先生を訪うた日などは、先生の梅子さんののし大声たいせいが門の外まで聞えた位で、拙者は機会おりわるしと見、ただちに引返えしたが
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「めでたい年頭、ことには城中、それがしとてかく大声たいせいを発しとうはないが、実もって常日じょうじつ、神尾氏の振舞いには眼にあまるかどが少なくござらぬて」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
また万歳を唱えてはるいと云う主義でも無論ない。しかしその場に臨んでいざ大声たいせいを発しようとすると、いけない。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんぼ兄弟の中でもわし請人うけにんだから金を出せと云う争いから、狂気きちがい見たようにたけり立って、わしかたりだ悪党だと大声たいせいを発して悪口あっこうを言うので、門弟どもが聞入れ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先を見ずにその場にて一時のかいむさぼる極めて短慮な者には、内容のさらにない雄弁をふるってみたり、あるいは大声たいせいかつ、相手の人には痛くもない讒謗ざんぼうや冷評をあびせかけて
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「おお! そうだ」横手よこでちて、馭者は大声たいせいを発せり、白糸はその声に驚かされて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と私は大声たいせいかつ、追いすがって、持っていた唖鈴あれいで国分の横びんたを撲った。国分は馬から飛び下りた。直ぐにかゝって来る積りで身構えをしていたら、然うでない。かがんで頭を押えた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
渋江保さんは母山内氏五百いほの語るを聞いた。榛軒は午餐若しくは晩餐のために抽斎の家に立ち寄ることがあつた。さう云ふ時には未だ五百の姿を見ざるに、早く大声たいせいに呼ぶを例とした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
数右衛門は、持ち前の大声たいせいをあげ、いきなり縁へ跳び上って呶鳴どなった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
残らず橋を渡るや否や、士官は馬上ながら急にうしろ捻向ねじむいて、大声たいせい
「それは、マア、屏風の置き違えにはきまっておるが、場合が場合じゃテ、臆病おくびょうなようだが、ちょっとびっくり致した。大声たいせいを発して、大人気おとなげなかった。アハハハハ」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
死したるものゝ吐くを死喝しかつといい、生きたるものが吐くを生喝しょうかつという。この大喝一声は実に天地へ響く大声たいせいでございまして、ガーと云ったときには気の弱いものはきもひしがれます。
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
そこで、士官連が是公に向って、今夜の会は大成功であるとか、非常にさかんであったとか、口々に賛辞をていしたものだから、是公はやむをえず、大声たいせいを振りしぼって gentlemenゼントルメン! と叫んだ。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、大声たいせいで名乗ったり、また
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大声たいせいよばわりましては又我に返り
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云うと文治は座を正して大声たいせい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)